売上減少が気になってしまう金融機関

銀行融資

利益は出ていますか

金融機関が企業に融資をする際、資金使途そして返済能力は重視するところです。

そして、返済能力となるものは企業が生み出すキャッシュフローです。キャッシュフロー計算書でいうところのフリーキャッシュフローですが、簡易的に「利益+減価償却費」で計算することもよくあります。

計算式については金融機関によってやや差はありますが次の通りです。
・営業利益+減価償却費
・経常利益+減価償却費-法人税等
・税引後利益+減価償却費

税引後利益は、特別損失や特別利益の影響を受けてしまうため、「経常利益+減価償却費-法人税等」のほうがいいでしょう。ただ、最近は「営業利益+減価償却費」での考え方も増えてきたように思います。

これが毎月返済の原資となりますから、金融機関が利益を気にするのは当然でしょう。

中小企業の中には商品別や取引先別に収支管理している企業があります。よく見ると、大手企業の販売先は、売上高は多いが、値下げ要求ばかりでほとんど儲からない(ひどい場合は赤字)というケースがあります。

大手企業と取引があることが自社のセールスポイント、売上減少が嫌で取引を継続している、そんな中小企業は多いです。しかし、儲けが出ていないし、これからもその傾向が続くのなら、無理して付き合う必要はありません(経営に余裕があるのなら別ですけど)。

取引を見直すことで、売上は減少しても営業利益は改善されることになります。

金融機関だって、返済の原資である利益が出ているのなら問題ありません。あくまで融資したお金をしっかり返済してくれることが大切ですから。

売上も大切ではあるけど、やはり利益重視でなければならないし、そのような経営をしなければならないのです。

現在、経営改善を支援している顧問先が、儲かっていない販売先との取引を解消し、売上は減少しましたが利益は改善されました。それをメイン行の京葉銀行は評価してくれました。

丁寧に説明してあげましょう

そういう金融機関がある一方で、売上が減少すると嫌がる金融機関はやはり存在します。

先日ご相談を受けた会社さんは、儲かっていない部門を切ったため売上は大幅に減少したけど、逆に営業利益は大幅に改善されました。しかし、K信用金庫は「売上が減ったので融資は見合わせたい」と言ってきたと怒っていました。

取引金融機関がそのように言ってきたら、採算の取れない取引先との取引解消が正しいのか悩んでしまうかもしれません。

しかし、企業は利益を出さなければ維持・成長はできません。従業員に適正な給料を支払う、納税をする、利益を投資に回してさらなる成長を目指す、そのためにも利益を出すことが必要です。

利益を出そうと経営改善しているのに、売上にこだわり過ぎる金融機関ならお付き合いを見直さなければならないかもしれません。

ただ、売上が大幅に減少するとなると、確かに金融機関も不安に感じるかもしれません。

利益の出ない部門や取引先だったことを説明し、そこから撤退したことで利益は増加し、余裕の出た経営資源を儲かる部門や取引先に投入することで、今後の成長が期待できることを説明しましょう。取引金融機関の不安を取り除いてあげることも必要です。