余裕を持った金融機関開拓

銀行融資

付き合っている金融機関の対応が悪い等と不満を持ち、どこか新しい金融機関はないだろうかとお考えになる経営者さんが本当に多い。私にも「すぐに融資してくれる金融機関を紹介してください」と相談される方は多いですから。

そういう場合、融資担当者は次のように考えます。

・お付き合いしている金融機関が融資してくれないからうちに来たのだろう
・いきなり融資の相談をしてくる企業だから資金繰りに相当困っているはず。今回融資をして何とかなったとしても今後の回収リスクは高い

どちらにしてもお断りを前提として行動します。もちろん絶対ではありませんが。

信用保証協会が原則100%保証していた時代なら「では信用保証協会の保証が出たら対応します」といった対応もありましたが、現在は一部を除いて原則80%ですし、とりあえず相談は受け付けるけど後日お断りとなることも多いでしょう。

金融機関から「融資でお付き合いをさせてください」とセールスしてきたら、早期に融資が実行される可能性は高いでしょう。しかし、こちらがお願いする立場であれば、金融機関としてはまず普通預金を開設してもらい、通帳の動きや財務資料をチェックしながらの対応となることが一般的です。

こちらからお願いする立場ではあるけど、少しでも優位な立場で融資取引をしたいのなら、急いでいない姿勢で対応することです。

口座を作るときに融資担当者とも名刺交換をして、このように言っておきましょう。「将来的には融資でもお付き合いをしたいと思っています。今回は決算書のコピーを持ってきましたのでよかったら受け取ってください。今後も定期的に試算表等を提出します。今のところ資金繰りに窮してはおりませんが、半年先あたりでやや厳しくなりそうなのでその時は相談に乗ってください」と。

担当者からすると、十分審査する時間があり、資金繰りにもゆとりがある、しかも今後の見通しを把握しているしっかりした企業だと前向きな評価になります。場合によっては、「半年後とはいわず、早めに借りておきませんか」と提案してくることもあります。

したがって、帝国データバンクの評点もそれほど良くないし、金融機関からお願い営業が来ることはないのでしたら、資金繰りに困っていないうちから動いておくことです。

取引金融機関が熱心に支援してくれる企業ならこのような行動は不要でしょう。しかし最近、金融機関が前向きに対応してくれない等と不満をお持ちなら、余裕のあるうちに新たな金融機関開拓を行っておきましょう。