利息支払いは資金繰り安定に必要な安心料

資金繰り安定のために支払利息は必要経費です 銀行融資

赤字決算で悩む経営者は、何とか経費削減を実行し黒字にしたいですから支払利息もできるだけ抑えたいと思います。だから、経営相談でこのような内容を時々言われます。

「資金繰りには楽じゃないけど、金融機関から借りれば利息を支払わなければならないでしょ。それだけ利益は減るし、赤字なら今後の融資にも影響するから、なるべく借りたくないんだよね」

他にも「資金が必要になる直前に借りて、少しでも余裕が出来たらすぐに完済したい」とか、「利息支払いが少なくて済むよう元金部分だけを返済していき、借入金残高が0円になったら利息を支払いたい」とおっしゃる方もいました。なお、最近は期日前の繰上返済は手数料を取られることが一般的になりました。

経営者なら支払うものは1円でも減らしたいのは当然です。しかし、資金繰りにおいて過度に利息を意識するのは問題です。

支払利息は安心料

金融機関の金利が非常に低いのはご存じでしょう。1%を切る企業もあるでしょうし、1%台が一般的であり2%以上は少ないのでは。大手銀行やネット銀行は、預金口座や会計データ等を活用した融資の取り扱いもあります。短期間で融資が実行され便利ですが、通常の銀行融資よりも金利は高いのが欠点です。

ノンバンクは無担保なら10%程度でしょうか、最近流行りの(2者間)ファクタリングはもっと高いです。出資を受けたとしたら無配もあるでしょうが、利益が出ていれば銀行融資以上の配当が要求されるでしょう。

低金利で資金調達できる手段は銀行融資になるのです。資金繰り安定のために利息を支払うと考えれば保険料みたいなものです。

1日の安心料はいくら?

年商3億円(月商2,500万円)、借入金は月商の4か月分1億円の企業があったとしましょう。そして金利は1%とします。

すると年間の支払利息は100万円(1億円×1%)ですね。1カ月なら83,333円(100万円÷12)、1日なら2,740円(100万円÷365)です。

年間100万円の支払利息が発生するということは、それだけ利益を減らすことになりますから節税効果があります。100万円だけ利益を減少させるのですから、法人税や地方税で3割取られるとすれば、30万円(=100万円×30%)の節税効果があるのです。

したがって、実質的な支払利息は70万円(=100万円×70%)、1日であれば1,918円(=2,740円×70%)です。

もし赤字決算だったとしても、法人税の申告において青色申告を選択されていれば、繰越欠損金として今後の節税効果が期待できます。青色申告や繰越欠損金について詳しくは、顧問税理士や税務署にご確認ください。

どうでしょう、人によって感じ方は違うでしょう。高いと感じる方はいるかもしれません。しかし、年商3億円規模の企業経営者が資金繰りの悩みから解放されるのであればそう高いものではないと思おうのですが。

経営者の役員報酬が月60万円、週休2日で月22日、1日8時間働くとしたら、時給に換算すれば約3,400円です。

1日2,000円程度の利息で経営者が前向きな業務に集中できると考えれば安いと理解いただけるはずです。そこをケチって時給数千円以上の経営者が資金繰りや金融機関との交渉に時間を費やしていたら、経営的にはマイナスであるとお分かりいただけるでしょう。

融資を受けやすい時に資金調達し、資金繰りに余裕を持たせることも大切です。本業以外のことで経営者が時間を取られないようにしましょう。