早めの決算予想で節税や銀行対策を

決算書 経理業務

決算月は3月が最も多いです。みなさんの会社もそうだとしたら、残り2ヶ月を切りましたから、赤字ならこれからどうやって少しでも売上を獲得していこうか、逆に利益が出ているなら節税策で悩んでいるかもしれません。それぞれ次のようなことに注意してください。3月決算以外の経営者さんも自社の決算の際には参考にしてください。

節税は今後の利益獲得に必要な支出だけにする

3月決算の企業は今から決算準備を行う必要があります。

1,過度な節税には注意

せっかく1年かけて獲得した利益を約30%も法人税等で取られてしまうのは、いくら納税義務があるからといってもちょっと悔しい気持ちになるかもしれません。

そんな気持ちになるのはそれだけ努力してきたからです。ぜひ可能な範囲で節税策を実施しましょう。しかし、過度な節税対策には注意してください。

例えば、当期利益予想が1,000万円だったとします。法人税等の税率が30%だとすれば税額は300万円ですね。均等割りを除いて0円にしようとなれば、1,000万円経費が発生すればいいということです。

しかし、それでは300万円の節税をするために1,000万円もの資金流出が発生します。節税策の多くは資金流出を伴いますから、節税は完璧であっても資金繰りが不安定になってしまう問題があります。

特に生命保険を使った節税対策は注意です。私は保険の専門家ではありませんが、今は支払った全額を経費として処理できるものは少なく、2分の1等、一部だけ経費処理できるものが多いと思います。だから先ほどの例の法人税等300万円を0円にしたければ、2,000万円もの保険料を支払わなければなりません。

手持資金がいくらでもある企業ならそれでもかまいませんが、多くの中小企業にとって利口な方法ではありません。結局のところ節税対策をしない企業が最も手元資金を残すことになります。

2,来期以降の利益を生み出すことに使う

節税をするのであれば、来期以降に必要となる器具備品の購入、設備の修繕、従業員への決算賞与、新規事業に関する調査等、事業に必要となるものを購入あるいは従業員にこれからも気持ちよく働いてもらえることに使っていきましょう。

将来の事業に不可欠なものを購入して節税をし、残りは納税するのが経営には一番いいと思います。節税のために無駄遣いはしないことです。

そして残った分について納税していけば、自己資本比率は上昇、手持資金も増えていきますから、金融機関からも高い評価を得られます。

3月決算の企業であればまだ間に合いますから節税策を考えてみましょう。

大規模な経済危機や自然災害等、10年に一度は経営に悪影響を与える出来事が発生すると考えたほうがよさそうです。それに備えるためにも過度な節税はせず自社の安全性向上に務めてください。

赤字見通しの企業は

今期は赤字になりそうな企業もあるでしょう。2期以上連続している企業もあるかもしれません。

金融機関はご存じのとおり損益計算書は黒字、貸借対照表の右下にある純資の部(自己資本)はプラス(資産超過)を評価します。

したがって、1月末までの試算表を確認したところ赤字であれば、残り2ヶ月で何とか売上を獲得、先ほどとは逆に節税策は実施せず黒字に持ってくのが理想的ではあります。

しかし、どう頑張っても赤字決算の見通しだという企業もあるかと思います。前期が黒字かつ資産超過であり今期の赤字決算でも債務超過に陥らないなら、今期は無理な赤字削減策を実施せず、来期から順調なスタートを切ることも考えられます。

前期が赤字や債務超過であったなら、できれば今期での改善を目指したいところですが、それがかなわないのなら、せめて今期を月ごとに見れば徐々に回復しているようにしたいところです。

1,営業利益は黒字に

最終利益(当期純利益)は赤字になるとしても、金融機関には収益力の回復を見せたいですから、できるだけ営業利益や経常利益は黒字にしたいものです。売上・製造原価あるいは販管費の中に臨時的な支出がないでしょう。あればそれは特別損失に計上することで営業利益を改善できます。

各企業によって状況は異なりますから方法は様々ですが、例えば次のような利益改善策はできませんか。

  • 30万円未満の少額減価償却資産を資産として計上し通常の減価償却を行う
  • 商品や原材料で廃棄処分したものがあれば、売上原価には計上せず特別損失に計上
  • 広告宣伝費等で計上されているチラシやパンフレットで未使用なら貯蔵品計上
  • (税務上も必要ですが)仕入や外注費等の中に仕掛がないかしっかりチェックする

他にも各企業によっていろいろありますから、もしお困りであれば当社にご相談ください。

2,難しいなら来期の経営改善計画書を

どうしても「今期決算書は金融機関にアピールできる内容にはなりそうもない」のでしたら、金融機関には将来に目を向けてもらうことも考えましょう。

具体的には、来期からの経営改善策や数値計画を作成、5月あるいは6月に決算書と一緒に提出・説明をするのです。

決算書が重要なのは今も変わりませんし、それだけでしか評価してくれない金融機関は確かにあります。しかし、企業の将来性にも目を向けることも増えてきました。そして3カ月あるいは半年に1回は進捗状況を報告して、金融機関との関係を改善していきましょう。

当社では中小企業が金融機関と良好な関係になるために、経営改善計画書作成やその後の管理をお手伝いしています。詳しくは当社ホームページ「銀行取引サポート」をご確認ください。

自社の経営を見直すためにも経営改善計画書の作成はメリットが多いですよ。