マイナス評価を受ける経営者の行動

銀行融資

企業向けの融資審査においては、まずは融資した資金がしっかり返済されるのかどうかが大切です。したがって、財務内容が良ければ返済能力は高いと考えられ、融資が実行される可能性は高いでしょう。

しかし、財務面は重要ですが、経営者の経営能力や人間性も大切です。特に中小企業ではそうです。もしここに大きな問題があれば、銀行融資が断られる場合もあります。

財務内容に問題があるとしても、例えば「計画内容について経営者の能力からして実現可能性が高いと判断される」、あるいは「経営者が真面目で経営課題から逃げずに取り組んでいる」、そのような企業に対しては、「何とか金融支援を行えないだろうか」と金融機関も考えるのです。

では、どのような経営者だと金融機関はマイナス評価をするでしょうか。次のような経営者さんは要注意です。

1、融資交渉から逃げる
中小企業経営者の中には、金融機関との交渉から逃げる方がいます。「数字が苦手だから財務内容について質問を受けても答えられない」、「決算内容が悪いと担当者から厳しい対応を取られるかもしれないから嫌だ」、そんな理由からコンサルタントや経理社員に任せたいとなるのです。同席してもらって説明の補助をしてもらう程度ならいいですが、すべてお任せでは問題があります。金融機関としては、そんな経営者ではやる気や資質を疑うし、いざとなったら経営から逃げてしまうのではと不安になるのです。

2.自社の数字が分かっていない
決算書の数字をすべて覚える必要はありませんし、財務分析をする必要もありません。ただ、直近の決算書の売上や利益、金額の大きい経費がいくらだったかぐらいは覚えていないと、経営に真剣に取り組んでいるのか姿勢を疑われかねません。

3、新規事業に熱心すぎる
新規事業を考えたらダメというわけではありません。もちろん考えてもいいです。しかし、本業がしっかりしていないにもかかわらず、新規事業のことばかり考えている経営者の企業は倒産リスクが高いのは間違いありません。

以前お付き合いしていた顧問先ですが、毎月訪問するごとに新規事業の話が出てきました。話を聞いていると確かに需要があって儲かりそうなのですが、本業が安定もしていないうちに儲かりそうだからと次々に手を出す、これでは本業もおかしくなってしまいます。

「儲かりそうなのだから、事業の柱をいくつも作るのはいいことだろ」という意見もあるでしょうが、限られた経営資源が分散されて「柱」になる前に倒れてしまいます。金融機関としても本業を安定させてそれから新規事業をと考えます。

4、公私混同
自社の運転資金や設備資金と説明して融資を受けているのに、その資金を経営者個人が使っている、これは本当にマイナス評価を受けやすいです。

資金使途と返済原資を確認して融資をしているのにそれと全く違う使い方をするのですから、その資金からは利益を生まないし、徐々に経営を悪化させ返済能力にも影響を与えます。

経営者の贅沢な生活や株式投資等のために、せっかく融資してもらった資金を使うようなことは絶対に避けてください。

5、担当者への対応が悪い
一般的に、融資を受ける企業側が金融機関に頭を下げて「融資してください」とお願いするイメージがあります。しかしその逆で、担当者に高圧的な態度を取る経営者がいます。そのような態度はやはりいい印象を持ってもらえません。

それでも業績が良好ならば融資は出るでしょう。しかし、そうでない場合、丁寧な対応をしてくれる経営者と、そうでない経営者では、前者のほうを担当者だって積極的に応援したくなるものです。

時々、支店長にはペコペコ頭を下げて、担当者には大きな態度を取る人がいます。担当者の感情を侮ってはいけません。気を付けましょう。