損益計算書は赤字であっても、資金調達によって資金繰りがつけば事業は継続できます。しかし、黒字であっても資金繰りがつかなければ倒産となります。だから経営者にとって、資金繰り管理というのは大変な苦しみであり、悩みであるといえるでしょう。
利益が出ていようといまいと、企業が倒産する原因は資金繰りの悪化によるものですから、金融機関からの資金調達によってそれを回避することはできます。
金融機関からの資金調達がすべて悪い訳ではありません。多額の設備を導入しようとなれば自己資金だけでは難しいでしょうし、売上が増加すれば棚卸資産や売上債権が増加し、それだけ正常運転資金が必要となります。
しかし、赤字であればその分だけ自社の資金繰りを悪化させます。赤字の穴埋めを資金調達で行うことができたとしても、それは根本的な解決にはなっていません。やはり企業を永続させるには利益を出さなければなりません。
東京商工リサーチから公表された『2017年「倒産企業の財務データ分析」調査』によると、生存企業の経常利益率は平均すると6.3%であるのに対し、倒産企業はマイナス2.8%です。また、生存企業で赤字の企業は全体の22.2%、倒産した企業で赤字の割合は53.7%と大きな差が出ています。
利益を出さなければならないのは、経営者なら誰もが知っていることです。しかし、どうしたらいいのかが分からないのです。そうすると次のようなことを考える経営者がいます。
・(今までと同じことをこれまで以上に)とにかく頑張る
・経費の大きなウエイトを占める人件費を中心に削減する
・広告宣伝に力を入れる
・(どうしたらいいのか分からないから)今まで通りにやっていく
この中でよくあるのが「とにかく頑張る」だと思います。
赤字になったのは無駄な経費が原因なら、それらを削減するだけでいいでしょう。しかし、多くの場合それだけでは済みません。今までのお客さんが減っている、景気が悪化した、近くにライバルが出現した、取扱商品やサービスの代替品が出現した、原材料の価格上昇を販売価格に転嫁できない等いろいろな原因があると思います。
経営悪化の原因を確認もせず、ただやみくもに頑張っても経営改善の効果が表れることは少ないでしょう。
したがって、自社の窮境原因は何かを調べて、その原因から採るべき改善策を決めて実行した方がいいのです。面倒かもしれませんが、それが黒字経営の近道です。
当社でも経営改善のお手伝いをしている顧問先があります。やはり経営改善計画を策定して実行している企業は黒字に向かう速度が違います。
このブログやホームページでもお知らせしていますが、自社の経営を改善していきたいと考えている中小企業を、費用面で補助する国の制度があります。
どちらも経営改善を支援してくれた専門家に支払う費用の3分の2を国が負担してくれますから、専門家の支援を受けながら経営改善を進めましょう。