死の谷

起業(創業)

これから起業するという方にとって重要なお話です。

起業するときにどこから資金調達するかといえば、民間金融機関(保証協会付き融資)、あるいは日本政策金融公庫(以下、公庫)からをイメージすると思います。

起業予定の方であっても、起業時に融資を受けることに対してアレルギーを持っているのでしょう、「失敗した時に借金が残るのは嫌だな」という考えは意外と多いです。しかし、起業時はまとまった開業資金が必要になるため、自己資金だけでは足りない起業者は多いです。

死の谷で断念しないために

そのため、金融機関からの資金調達をするけど、極力借りたくないから少なく借りる、あるいは自己資金だけでなんとか開業にこぎつける起業者がいます。それは今後の事を考えるとかなり不安な状態にあります。

なぜなら、起業しても計画通り順調に進むことはまずありません。

起業してから経営が安定してくるまでには、1年から2年程度は必要でしょう。この時期を「死の谷(デスバレー)」と呼ぶのですが、ここを乗り切れるかどうかが大きなポイントなのです。ある程度の資金を用意して起業しても、事業が軌道に乗り安定的な収入が得られるようになる前に資金が枯渇し、「死の谷」で断念することは多いのです。

実際、「公庫等から資金調達しなくても、なんとかなるだろう」と考えていたものの、販売が予想以上に苦労し、手持ち資金が底を尽いたから融資の相談に行ったけど、融資は受けられなかったという中小企業は多いです。

正直言って、そういうタイミングでの資金調達がもっとも難しいと思います。金融機関もこれから事業をスタートさせる起業者にはまだ融資しやすいけど、自己資金は使い果たしたうえに、売上もこれからというのでは極めて消極的な姿勢です。

売上が安定して来るまでには時間がかかります。それに起業時の初期投資だけでなく、その後の毎月発生する固定費は予想外に多いものです。

だからこそ、死の谷を乗り切るためには起業時に資金調達をしておいたほうがいいのです。

 

資金繰りの見通しに不安があれば資金調達を

公庫だけでなく、民間金融機関でも信用保証協会の保証付きではありますが、起業者向けの融資は対応しています。結構熱心に対応してくれるところもあります。当社がお付き合いしている金融機関は公庫との協調融資にも積極的です。

そして4月から、起業者が手元資金なしでも保証が受けられ、死の谷を越えて事業を継続できるよう、信用保証協会は100%保証する限度額を1,000万円から2,000万円に拡充しました。

当社の宣伝をするわけではありませんが、起業時にどれだけの資金が必要か、その後の収支計画や資金繰りに問題がないか、必ず専門家や公庫等に相談してみましょう。そして、資金繰りに少しでも不安があるようなら、資金調達も検討してください。