毎日新聞 2021年6月8日「自民党員になれば融資」国会議員が出席した会合の一部終始
党員になることを条件に政府系金融機関の融資を口利きするというもので、詳しい内容はこの記事を読んでください(有料記事です)。
私は記事を買ってまでは読んでいませんが、ネットでは議員の名前、コンサルタント会社の社名が出ています。収支報告書にもその会社から寄付をされている関係ですし間違いないのかもしれません。
支持者の融資を口利きする、こんなの昔からあります。東京でもあるけど、特に地方(自民党が強い県)に行くといろいろ話を聞かされます。
当社を設立した頃(15年ぐらい前)、群馬県のA建設から「俺は元総理のNとは親しいんだ。いくらでも借りられるよ」と自慢していました。「だったら何で俺を呼んだんだ」と思いましたけど。話を聞いただけですから本当かは分かりません。
10年前に会った経営者は、取引銀行から数千万円借りてすべて自宅購入の頭金にしたことがバレて、どこも融資をしてくれないと言っていました。私が「経営内容は良いけど、そんなことしたら融資は出ない」と申し上げると、やはり自民党の先生に口利きしてもらうと言っていましたね。
どちらもその後、口利きで融資が出たかは分かりませんが、実際、私の目の前で口利きの効果を見せてもらったことが何度かあります。100%成功するとは断言できませんが間違いなくあります。
今回問題になった政府系金融機関は、本来なら融資対象外企業なのに、口利きによって融資が出ること多いですもんね。当社顧問先ではないから書きますけど、品川区のある企業はそもそも融資対象外なのに政治家を使って上から圧力をかけてもらい、資本性劣後ローンで資金調達していました。でもその金融機関は政府系ですし責めることはできません。
昨年も埼玉県の企業を訪問したら、「地元の議員〇〇に口利きしてもらった方がいいでしょうか」と言われました。
その企業は粉飾決算しているし(しかも金融機関にはバレています)、リスケジュールしたばかりでした。「口利きなんかに頼らず資金調達に動きましょう」と説得し、政府系金融機関には一緒に訪問してお手伝いしたら融資は出ました。しかも希望額よりも多くしてくれるし、返済据置期間も長期にしてくれました。
この記事にある融資説明会に参加された経営者十数人は、すべての金融機関から融資を断られたのか、これから融資を申し込むところだったのか、経営状態も様々だから断定はできません。しかし、融資の口利きを依頼しなければならない経営というのは、すでに倒産しているに近いといえるでしょう。
政治家の口利きや粉飾決算による資金調達は、自社の能力を超えた借入金残高になります。一時的に資金繰りは改善されても、結局は毎月の返済が負担となります。仮に元金返済はストップしてもらったとしても、高額な利息が利益を奪い取っていきます。心を入れ替えて頑張っても手遅れです。
まだそんな方法を使ったことがない経営者さんは、これからもそんな資金調達方法には手を出さないようにしてください。