売掛金の回収は必ずやらなければなりません。
それはいうまでもなく、自社の資金繰りのために必要なことだからです。
売掛金を回収した資金で、仕入や外注、諸経費の支払い、借入金の返済をすることができるわけです。だから、もし回収できなければ手持ちの資金で支払いや返済をしなければならなくなるのです。
そんなことをしていたら自社の経営を不安定なものにしますし、場合によっては即倒産になるかもしれません。
それに、仕事を一生懸命したのに回収できなければ、モチベーションの低下にもつながります。
しかし、売掛金をなかなか支払ってくれない取引先があっても、あまり強い姿勢で督促をすることができない経営者は多いようです。
正直言って当社もそうです。かなり資金繰りの苦しい顧問先は何社かありますから、そういう先に対しては正直言いづらいときがあります。
経営や資金繰りの改善をお手伝いしていますから、苦しいのがよく分かってしまうだけに、余計言いづらいのです。
昨年お手伝いした医療関係の顧問先があったのですが、そこはガン治療を行っていました。
ガンのような病気ですと、患者はこれまでにもかなりの治療費を支払っているため、あまり金銭的に余裕がない方もいるようです。そうなると強く言いづらいという事でした。
しかし、それでも電話連絡や再度請求書を郵送するなどして、売掛金の回収をやらなければなりません。
言えないから、あるいはやさしさから、対応が甘くなってしまえば倒産にもなりかねません。
そうなれば、従業員やその家族、取引先に迷惑をかけることになります。先ほどの医療関係の顧問先がもし倒産すれば、ガン治療が受けられず病状が悪化したり亡くなったりすることも考えられます。
企業は利益を出してしっかり回収しなければなりません。今のお客様、そしてこれからのお客様のためになる仕事をするためにも、資金繰りで行き詰らないようにして、事業を継続できるようにしなければなりませんし、その使命があると思います。
今日伺った顧問先も、売上は発生するのだけれど回収できない、あるいは回収するまでかなり苦労する事が多く見られました。いろいろ難癖付けてくる取引先が多かったのですが、強く請求できない顧問先にも問題がありました。その影響で資金繰りが苦しく倒産直前でした。
3年前からその顧問先の経営改善をお手伝いしています。支払の悪い取引先との取引解消、売掛金回収強化、仕入代金をあらかじめ支払ってもらう等の対策により、黒字計上と資金繰りの安定が少しずつ進んできました。
損益計算書には売上高として計上されても、貸借対照表には売掛金(あるいは受取手形)のままでは何の意味もありません。損益計算書しか見ない中小企業経営者は多いのですが、貸借対照表に計上されている売掛金の回収が遅れていないかもしっかりと確認しましょう。