公的資金繰り等支援制度 資金繰り

取引先の倒産に備える

2019-11-21

「取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった」というご相談があったのですが、そういえば提携している社会保険労務士さんも、お花屋さんの顧問先から数十万円回収できなくなったと先月言っていました。

少額の売掛金なら経営にはあまり影響ないかもしれませんが、中小企業は一部の取引先に売上を大きく依存しているケースが多く、その大口取引先が万が一倒産しようものなら自社も事業が成り立たなくなるでしょう。

そのような不安・リスクを解消するための公的制度として、「中小企業倒産防止共済制度」があります。「経営セーフティ共済」とも呼ばれます。

■中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)とは
中小企業倒産防止共済制度とは、取引企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8,000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の貸付を受けられる、中小企業倒産防止共済法に基づいた制度です。国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

この制度名のとおり、取引先企業の倒産による連鎖倒産や経営難から中小企業を守ることを目的としています。

■加入できる企業
加入資格としては1年以上事業を継続している中小企業・個人事業主、かつ以下のように業種によって加入条件が異なります。

・製造業、建設業、運輸業等・・・資本金が3億円以下、または常時使用する従業員数が300人以下
・卸売業・・・資本金が1億円以下、または常時使用する従業員数が100人以下
・サービス業、小売業・・・資本金が5,000万円以下、または常時使用する従業員数が100人以下

毎月の掛け金は5000円から20万円まで、5,000円刻みで選択できますし、経営状況に応じて増減額は可能です。

加入手続きについては、金融機関、商工会議所や商工会などで行っています。相談に行くと申込書類をもらえるはずです。

■加入メリット
・掛け金を損金として処理が可能
毎月支払う掛け金は損金として処理できますので、節税効果を得ながら倒産リスクに備えることができます。

・貸付けが受けられる
先ほども申し上げたように、取引先が倒産し売掛債権の回収が困難になった場合に資金を貸してくれます。

特に大口先が倒産となれば、取引金融機関も金融支援には消極的になってしまうでしょう。しかし、回収困難な売掛債権額以内で、仮に限度額800万円まで積み立てていれば、最高で8,000万円まで借りることができます。また、無担保、無保証人、無利子です。一応、無利子なのですが、貸付を受けた場合は貸付額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛け金から控除されてしまいます。実際には無利子ではありません。

なお、取引先が倒産といっても、法的整理、取引停止処分などの状態にあるときを指し、「夜逃げ」ではこの制度における倒産には該当しませんから注意してください。

・解約時に掛け金は戻ってくる
この制度は期間にもよりますが掛け捨てではありません。期間が12カ月に満たないと掛け捨てになりますが、40ヶ月以上ならば掛け金の全額が返戻金として戻ってきます。

なので、解約時がたまたま赤字、あるいは繰越欠損金がたくさんあるなら法人税は問題ありませんけど、かなり利益が出ている時は納税額に注意してください。

■まとめ
このように資金繰りの万が一に備えることができますし、黒字企業なら節税効果も期待できますのでメリットのある制度です。融資取引をしている金融機関から加入を提案された企業も多いと思います。倒産して融資したお金が回収できないと困りますからね。自分たちの保全の意味からも提案してくるのです。

1社あたりの取引額が大きい企業なら、いざという場合に備えて加入を検討するといいでしょう。

詳細についてはホームページを参照してください。

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代表 瀬野正博

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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