土地の購入

「当社は車両や建設機材を置く土地を購入して、経費の中でも大きなシェアを占める地代を削減すればより利益は増える。利益が増えれば金融機関からの格付けもアップするだろう」と考える経営者は多く、実際、駐車場等として使う土地を購入したいというご相談を受けることがよくあります。

「どうせ毎月駐車場代を支払うぐらいなら、金融機関から融資を受けて購入し返済を続ければいつかは自社のものになる。そちらのほうがいいに違いない」と。それに金融機関から借りてくれると言われるし、売上を伸ばすのは大変だから経費を削減して利益を出したいのも理由です。

理解できないわけではないのですが、そのような考えは要注意です。

1,000万円の利益が出ている企業があったとしましょう。現在の年間の駐車場代は600万円です。融資を受けて購入した場合の年間返済額も同じ600万円だとします。税率は30%とします。
現状、駐車場を借りた状態では1,000万円×税率30%=法人税等は300万円、税引後利益は700万円

土地を購入した場合、地代が減りますから600万円利益が増えます。しかし、土地は建物と違い減価償却ができません。ということで、
1,000万円+600万円=1,600万円、1,600万円×30%=480万円、税引後利益は1,120万円
さらにここから600万円を返済しますから残りは、1,120万円-600万円=520万円

「税引後利益=現預金の増加」とすれば、購入したほうが180万円も多く資金流出する結果に。

ここでは説明を簡略化しましたが、融資を受けて購入すれば固定資産税や金融機関への支払利息も発生しますから、より購入のほうが不利になります。

建物については長期間にはなりますが減価償却はできます。しかし、土地についてはできませんから、多くの税金を負担して返済することになります。購入は慎重になさったほうがいいのです。事務所として土地建物を購入するのも慎重にしたほうがいいですけど、駐車場等の理由で土地だけの購入は避けたほうがいいでしょう。

デメリットはそれだけではありません。

今後とも経営が問題なく順調に続けばいいでしょう。しかし、思うような経営ができなくなった時、事業の撤退や縮小を考え、不動産の売却で借入金を返済しようとしても、安い金額でしか販売できないことが多い。自己資金を加えて返済できればいいほうで、それすらできない企業が圧倒的です。

貸借対照表には土地として6,000万円と計上されていたとしても、その簿価で売却できるわけではありません。もちろん購入時よりも高い金額で売却できる可能性もありますが、日本の将来を考えたらそれはあまり期待できないのではないでしょうか。

昔のように日本が成長し続けている環境ならまだしも、経営環境の変化にすぐに対応できるよう余計な資産は持たず身軽な経営をするべきでしょう。

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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