多額の貸付金が資金調達に影響

銀行融資

企業は手持ち資金を使って、仕入や人件費等の経費支払い、車両や機械等の資産を購入して利益を生むよう経営活動を行っています。

経営者は損益計算書に無駄な経費が存在しないか、貸借対照表には利益を生むのに貢献していない資産が含まれてないかをチェックする必要があります。

金融機関は融資先企業の貸借対照表に計上されている資産の部を注視しています。それは事業に活用し利益を生むかというだけでなく、資産性があるかという面からも確認をするのです。

そして、金融機関に嫌われる資産といえば貸付金です。特に経営者への貸付金でしょう。

貸付金が増える理由は次のようなことが考えられます。

1、経営者が私的に資金を使うために貸し付ける(例えば、株式投資や趣味に使ってしまう)。

2、経理作業がずさんであるため、いつの間にか現金残高が増えてしまい、それを貸付金として処理した。

というところでしょうか。

金融機関は自分たちが融資したお金が事業のために使われて、利益を生んで返済と利息支払いができることを期待しています。

しかし、その資金が経営者へ貸付金として使われているとしたら、多くの場合は直ちに返済してもらうことが困難ですし、利益を生むこともないでしょう。

個人的に使ってしまったわけでないにしても、預金を出金してもそれに見合った領収書がなければ、徐々に現金残高が増えてしまいます。そしてそれを実際の現金残高に合わせるために、貸付金処理をする中小企業は本当に多い。そうなれば経理がずさんで決算内容も信用できないということになります。

昨年末からお付き合いが始まった顧問先から決算書をもらいました。事業拡大に力を入れなければならず、経理面が疎かになっていたことから、多額の貸付金を発生させる結果となってしまいました。

私は次の融資は難しいかもしれないと思ったのですが、やはりこれに対して信用保証協会から「しばらく保証を出すことは難しい」との回答でした。

貸付金のすべてが悪というわけではありません。経営者、従業員、取引先に一時的に貸付ることはあるでしょう。しかし、早期に返済が期待できない塩漬けになるような貸付金を金融機関は特に嫌がります。

経営者が個人的なことで資金が必要なら(当たり前ですけど)個人の財布から出し、経理作業をしっかり行うことで管理していく、それによって貸付金が大きく増えることを防ぐことができるでしょう。

貸付金残高が多額になると早期の解消が難しくなります。それが原因で金融機関からの資金調達が困難になると資金繰りにも影響しますから、ぜひみなさんは注意をしてください。