当社の顧問先は年商3千万円から10億円と幅があります。10億円規模ともなれば、税理士、社会保険労務士、弁護士、経営コンサルタント等の専門家と顧問契約を結び、各専門家にすぐ相談ができます。小規模企業ですと、税務申告があるから税理士とだけ付き合っているということがとても多いです。
しかし、税理士が相談相手にならないこともあります。税務の専門家としては能力が高くても、それ以外は専門外という事はよくあります。また、報酬が異常に安いから、税務以外は対応してもらえない企業も多いようです。
税理士としては「かなり安い報酬で申告までやっているのだから、たまに訪問して申告すればいい」と考えるでしょう。しかし、企業からすると「あまり来てくれないところが、まったく相談相手にもなってくれない」と不満を持つ経営者がいます。だから相談に来られた経営者さんに、どんなお付き合いをしているか聞くと、税理士さんが気の毒だと思うこともあります。
顧問税理士に税務以外は相談できない、あるいは費用面から他の専門家にも相談できないことがあると思います。その結果、経営者が間違った経営判断をしたままの状態にある企業は多いです。
例えば
・どう見ても新規融資は出ないが、経営者はいつか融資してくれるかもしれないと返済し続けている。返済を優先したために税金や社会保険が滞納し始めている。
・業績が悪化してきたからと、売上に貢献していた経費まで削減してしまい、かえって経営悪化をもたらしてしまった。
・「借金=悪」のイメージから社長の自己資金で資金繰りを回していた。しかし、手持ち資金がなくなり、預金口座のある銀行に相談したが、全くの新規取引なので時間がかかり、返済や支払いに間に合わなかった。
・資金繰りの管理を行っておらずいつも頭を悩ましている。
・決算月近くになっても予想利益を計算していないため、およその納税額も把握できていなかった。そのため、予想外の納税額に期限内納付ができなかった。
このように専門知識を持った相談相手はやはりいた方がいいのです。
しかし、専門家への支払費用が重荷になります。そして、それを減らす方法があります。例えば経営改善計画策定支援事業です。
金融機関にリスケジュールや新規融資等、経営改善に必要な金融支援を得るため、経営改善計画書を作り支援を受けるのですが、計画作成や3年間の継続支援(モニタリング)に必要な費用のうち2/3を国が補助してくれます。
またそれに似た制度として、早期経営改善計画策定支援事業があります。
リスケジュール等の金融支援をお願いするほどでの経営状態ではないが、いろいろ問題点もあるし、専門家にじっくり診断してもらいたい場合もあるでしょう。
その場合、専門家と一緒に問題点を抽出し、それを改善するためのプランを考え、今後の数値計画を作成します。そして、計画に沿った経営をしていく事で自社の経営改善をしていきます。そこまでの費用をやはり2/3を負担してくれるのです。
毎月の顧問料までは負担してくれませんが、経営問題を抱えているのに相談相手がいない場合でも、国の支援を受けて相談や経営改善ができるのです。自社の経営を見てくれる専門家がいない場合は、これら制度を利用するといいでしょう。