「当社はいくら以上の売上がないと利益が出ないのだろうか」「目標利益を獲得するにはあとどれだけ売上を増やさなければならないのか」と考えたことはないでしょうか。
特に経営改善を実行し業績を回復させたい企業としては、いくら以上の売上高を獲得すれば利益はトントンになるとか、1億円以上あれば目標とする利益を獲得できるというのが分かっていた方が、具体的な営業活動もしやすいでしょう。自社の損益分岐点売上高を計算してみましょう。
損益分岐点売上高の計算式を使って、どれだけの売上高があれば利益0円になるのかを計算することができます。
損益分岐点の計算式でよく出てくるのが、「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」です。教科書的にはこれなんですけど、見てもよく分からない経営者さんが多いと思います。
固定費は売上高が0円になっても発生する費用で、ここには出ていませんけど変動費は売上高の動きに変動する費用です。限界利益率というのも「(売上高-変動費)/売上高」なんですけど、なんだかよく分かりませんね。
ということで、もっと分かりやすい計算式にすると「損益分岐点売上高=販売管理費÷粗利益率」となります。借入金があって支払利息が発生するようでしたら、販売管理費に含めましょう。
売上原価のところは売上高の増減によって変動するけど、販管費のところや支払利息については売上高に関係なく発生するし、毎月定額(あるいはほぼ一定)だろうという考え方です。
損益計算書の販売費及び一般管理費と支払利息というのは、売上高が0円になっても発生するものがほとんどです。もしそうであれば限界利益率という部分も粗利益率で計算して大丈夫です。
仮に、販売管理費と支払利息で5,000万円、粗利益率が20%の企業であれば、損益分岐点売上高=5,000万円÷20%=2億5,000万円となります。
ここから応用して社員を二人雇用したいとします。二人で合計1,000万円の人件費が増加するとしましょう。
その場合は、(5,000万円+1,000万円)÷20%=3億円となりました。二人を雇用するためには、5,000万円の売上増加が必要になってくるのです。
これは目標利益を獲得するにはいくらの売上高が必要か計算する時にも使えます。先ほどの社員二人を新メンバーに加えて、さらに1,000万円の利益獲得を目標とする場合、(固定費5,000万円+社員二人1,000万円+目標とする利益1,000万円)÷20%=3億5,000万円の売上高が必要と計算されました。
販管費の中に明らかに売上高と連動する経費があれば今の計算式は成り立ちませんが、それほどの金額ではないのでしたら気にしなくても大丈夫です。
このように損益分岐点売上高は経営者の意思決定で役立ちますので、ぜひみなさんの会社でも計算してみてください。そして正確な数字は、顧問税理士やコンサルタント等に確認してもらってください。