資金繰り悪化に伴いリスケジュール(リスケ)を受けている企業が、当初計画のとおりに経営改善が進まないため、返済額をさらに減らして欲しいケースがあります。
毎月返済額を1,000千円から300千円に減額してもらっているもののさらに資金繰りが厳しくなり、できれば元金返済額をより減らしたい(できればゼロにしてもらえないか)という悩みです。
減額は可能
リスケ中でも返済金額を更に減らすことは可能です。当初よりもさらに資金繰りは悪化しているのですから、金融機関も慎重に審査することになりますので、承認が下りない、あるいは交渉が難航することはあるかもしれませんが。
経営者は「でも、もう減額してもらっているし、300千円なら返済できますと言ってしまった。さらに減額してくださいなんて言ったらもう支援が打ち切られるのでは」と不安になるでしょう。また、交渉が難しいと行動に移せず無理して返済を続けてしまいます。こういう内容のご相談は非常に多い。
特に性格が真面目な経営者さんは、「もう迷惑をかけるわけにもいかないし、無理しても返済しなければ」と考えてしまいます。約束を守ろうという気持ちはとてもいいことではあります。しかし、無理な返済を進めることで、税金などの滞納、高金利で資金調達、仕入や人件費などの支払い遅延が発生、経営を継続できなくなる可能性が高くなるのです。その結果、かえって金融機関にも迷惑をかけることになります。
そんなことは経営者だけでなく金融機関も望んではいません。取引先企業の経営が改善し返済が正常に戻って欲しいと願っています。
当初計画通りに行かないのなら
リスケをしてもらうのに経営改善計画書を作成して提出することも多いでしょう。しかし、計画策定時点では正しい内容であったとしても、外部環境の変化や社内の都合もあり計画通りに進捗するとは限りません。当初計画と実態に大きな乖離が出たら、経営改善計画の再策定が必要です。
顧客離れに歯止めがかからず、どう考えても売上回復の見通しが立たないなら、返済をストップしても効果はなく廃業という選択肢も検討しなければならないかもしれません。しかし、多くの中小企業は計画内容に沿って何とか経営を立て直そうと日々努力しているはずですし、その努力がもう少しで数字に反映されてくるところまで来ている事も多いものです。
そんな日々の努力の結果を含め、改めて計画書を再度作成し提出する必要があるでしょう。ただ、ゆっくり作っている時間がなければ、まずは「返済額を再度見直して欲しい」と伝えましょう。金融機関への相談が遅ければ遅いほど、「なぜもっと早く来ない」と言われます。
これまでの資金繰り実績がどうだったのか、これからの見通しを示してどこまで返済を減額すれば資金繰りは改善されるのかを、資金繰り表にまとめこれだけはすぐに提出しましょう。
資金繰り表を作成するのは面倒かもしれませんが計画書よりは楽でしょう。金融機関も審査する資料が全くないのでは困ってしまいます。そして、計画書の再提出のために少し時間をもらいましょう。
金融機関には「ここで支援を打ち切るよりも、支援を継続すれば企業も再生できるし、返済も正常化できそうだ」と理解してもらえる資料を作成してください。
社内だけでは計画書等の作成は無理であることも多いでしょう。そんな時は経営改善の専門家に協力してもらう方法もあります。専門家への報酬の一部を国が補助する制度がありますから、利用を検討してもいいでしょう。