自社の利益を2倍にするための売上高はいくらか分かりますか。
みなさんの会社の年商が1億円、そして利益は1千万円だったとしましょう。
1千万円の利益を2倍の2千万円にするには、一体いくらの売上が必要になるでしょうか。
「利益が2倍なのだから、売上も2倍必要だろう。だから2億円だ」との答えがあるかもしれません。果たしてそうでしょうか。
こんな企業があったとしましょう。
売上高1億円、仕入5千万円、粗利益5千万円(粗利益率50%)、販管費4千万円、利益1千万円
費用には2種類あります。売上高に連動して発生する変動費、売上高に連動せず0円でも発生する固定費です。変動費の例としては商品や原材料の仕入、外注費等、固定費には人件費、地代家賃等が含まれます。
今回の例では、仕入は売上が0円なら発生しない費用ですから変動費です。販管費は一部例外もあるでしょうが、役員報酬や給与、地代家賃等ほとんどが固定費なので、販管費4千万円は固定費とします。
利益は2千万円を目標にしてみます、そして販管費4千万円、合わせて6千万円ですから、粗利益も6千万円にする必要があります。
目標売上高X×粗利益率50%=6千万円
つまり、粗利益6千万円を獲得するための売上高は1億2千万円(=6千万円÷0.5)となります。
この企業の場合、利益を2倍にするためには、売上高を2倍にする必要がありません。利益率に変化がなければ20%の増加率で利益を2倍にする目標が達成できます。
実際には変動費と固定費の振り分け方で悩むケースがあるかもしれませんが、細かく考えるときりがありませんから、深く考えすぎないようにしましょう。
自社の費用を変動費・固定費に分けることができ、その比率も理解できるようになれば経営に大きなメリットがあります。経営計画を策定する際に役立つのです。
例えば、「社員の人件費を10%増やすにはいくらの売上高を目標にする必要があるか」や「年間返済額分のキャッシュフローを生み出すには、売上高はいくらに設定するべきか」が分かるからです。
売上高は「対前年比20%増を目指す」というよりも「1億2千万円を目指す」と言った方が分かりやすいと思います。そこから社員1人いくらを目指せばいいのかも明確になります。