日本政策金融公庫との継続取引

銀行融資

民間金融機関の補完的な役割

日本政策金融公庫(以下、公庫)は、国が株式の100%を保有する政府系金融機関の1つです。経営者なら多くの人がご存知でしょう。

そして、民間金融機関の補完的な役割を担っているともいえます。だからややリスクがあるとの理由で民間金融機関が慎重になるような案件でも、公庫は積極的に融資をすることが多いです。

創業融資といえば公庫をイメージする方が多いと思いますが、経営がまだ軌道に乗っていないためリスクの高い融資です。したがって、民間金融機関は躊躇しがちです。それでも公庫は実績を伸ばしています。

また、公庫は業績が悪化した企業に対しても、民間金融機関に比べればできる限り前向きに対応しようとの姿勢です。

昨年のコロナウイルス感染拡大時、資金調達に成功した企業も多いでしょう。公庫は政府系金融機関ですから、国の中小企業支援の動きに連動するのが特徴です。そのため、中小企業が苦労している時には、とても頼りになる金融機関なのです。

細く長く付き合っておく

経営が悪化しても公庫は民間金融機関より前向きだと説明しましたが、そのためには常にお付き合いをしておきましょう。公庫から資金調達して、常に返済を続けているほうがいいのです。

完済直後ならいいですが、しばらく経ってしまってから新たに融資を依頼すると、まったくの新規扱いになります。返済を続けている時のほうが実績はあり、審査も通りやすいと思います。それに取引を継続していると審査にかかる日数も短いです。

その方が資金繰りに困った時にでも、公庫はリスクを取って支援してくれる可能性が高いです。だから公庫とはいざという時に備えて、取引を継続した方がいいのです。そして、取引をしている間、少なくとも決算書だけは毎年提出してください。

返済を続けていくうちに完済が近づいてきたら、また借りておきましょう。返済が続き残高が半分にでもなった頃には、増額で借換え等をしてもらい残高を回復させるといいです。業況に大きな変化がなければ、現在の残高に今までの返済を含めた金額程度(当初の融資額程度)は可能でしょう。

もちろん返済を続けていく中で、決算内容が良かった時に動いてください。いくら民間金融機関と比べ赤字等でも応じてもらいやすいとはいっても、資金調達が容易にできるタイミングのほうがいいですから。

注意点としては、民間金融機関でも返済実績は重要ですが、公庫はより重視する傾向にあるから、返済が遅れることがないようにしてください。

公庫と取引するメリット

公庫と取引するメリットは、民間金融機関からの資金調達が難しい場合に応じてくれる可能性があるだけではありません。公庫が融資実行することで、民間金融機関も支援に追随することがあります。実際、当社顧問先でメインバンクから融資を謝絶されたのですが、公庫が支援を表明すると態度を変化させたことは何度もあります。

さらに公庫とは預金取引がありませんから、融資された資金は取引金融機関の口座に振り込まれます。そうすればある程度、預金の平均残高を常に維持できれば、その金融機関から見ると融資をしやすい企業ともいえます。融資提案を受けられることが期待できるでしょう。