思うように売上が伸びない時、値下げをして1つでも多く販売したいと考える経営者はいるでしょう。すぐ簡単に取り組める対策ですし、誰でも思いつく方法です。
1個500円で仕入れたものを1,000円で販売しているとします。
500円で仕入れて1,000円で売っているのですから、差額500円の粗利が得られます。100個販売すれば5万円の粗利を稼ぐことができます。
ここでさらに売上を伸ばしたいので、10%引きの900円で売ることにしたとしましょう。
10%値下げした場合の価格は900円ですから、売れば1個あたり400円の粗利です。100個販売すれば4万円の粗利です。
10%値下げをしてもこれまで通り粗利5万円を確保するには、どれだけ販売しなければならないでしょうか。
50,000円÷1個当たりの粗利400円=125個
つまり販売個数を25%アップさせれば、今までと同じ粗利が確保できます。値下げ効果が大きくそれ以上に販売できれば、今まで以上の粗利が確保できます。
これまでの例では50%と粗利益率が高い商品でしたが、もし利益率が低い商品だったらどうでしょうか。粗利益率が10%や20%しかない商品なら、結構たくさん売上を伸ばさないといけません。
800円の商品を仕入れて1,000円で販売しているとすれば、1個あたり200円の粗利になります。この商品を10%値下げして900円で売ると、粗利は100円にまで減ってしまいます。
ということは、販売数は今までの2倍売らなければ、これまでの粗利益を確保することができないのは分かるでしょう。
10%の値下げで倍の売上を確保しなければなりませんから、かなりきついことが分かると思います。値下げによってさらなる利益確保は極めて難しい。忙しいだけで全く儲からないという事になりかねません。
大手企業は大量仕入れにより仕入額を引き下げることが可能でしょうが、中小企業では消耗戦になるだけですから避けるべき戦略です。値下げがすべてダメというわけではありません。ただ、それによってどれだけ売らなければならないのかは確認するようにしてください。
それに1回値下げをすると、「あの会社(店)はここまで値下げをする」というイメージを持たれますし、通常の価格に戻せば顧客側は値上げをされて割高な感覚に陥ってしまいます。
値下げをしなくても選んでもらえる企業・店舗を目指すのが原則です。値下げをするなら販売数量によって行うとか、販売価格はそのままで追加のサービスを提供する(おまけをつける)等を検討してみましょう。