資金繰り

なぜ貸付金がいけないか

2021-08-03

よく金融機関が嫌がる勘定科目として貸付金(他にも仮払金等)が挙げられます。このブログでも過去に書いたことがありますし、経営者ならご存知の方が多いでしょう。

貸付金といっても取引先や従業員への貸付けもありますが、多くは経営者個人に流れていることが多いと思います。どちらにしても返済してもらえる可能性が低いのではないでしょうか。それ以外にも杜撰な経理処理が影響で、実体のない現金が発生、それを隠すために貸付金等で処理することもあります。

貸付金がいけない理由として、まず資金使途を運転資金と偽って借り経営者個人に流れていれば資金使途違反になりますし、もう一つは事業に使われていないということです。

貸借対照表の資産の部には、上から現金・預金、売上債権(受取手形や売掛金)、その次に棚卸資産(商品、原材料等)が並んでいて、その下にもいろいろな勘定科目が並んでいるはずです。

・棚卸資産はそれを販売して売上を獲得します。
・建物(工場)を使って製品を製造します。
・車両運搬具を使って営業に行ったり、商品・製品を納めたりします。
どれも資産を使って売上計上に貢献していることになります。

その結果として売上債権が発生し後に資金化され、給料や仕入先などへの支払い、金融機関への返済に充て、残りを自己資金として蓄えることができます。

資産の部の現預金や売上債権を除いて、(敷金や保証金等一部を除き)原則としては資産を費用化して売上を計上、利益を上乗せした現預金を獲得しなければなりません。

このように経営者への貸付金は経営に貢献しているでしょうか。その多くは個人的なことに使われ、利益を上乗せして返済してもらえるわけではないと思います。

手持現預金が潤沢で、経営者への貸付金が多額になっても経営に影響が出ないなら、それでもいいでしょう。しかし、金融機関から調達した事業資金が個人への貸付金に流れてしまえば、それは長期に渡って塩漬けされてしまい、借入金の返済原資どころか利息すら生み出しません。それでも金融機関へは利息支払いや返済も発生しますから、収益や資金繰りを悪化させます。だから貸付金はいけないのです。

金融機関も貸付金残高が膨らんでいけば、経営者に詳細をヒアリングしてきます。そしてやむを得ない事業がなければ、いずれは融資をストップしてきます。

企業が事業資金として調達した資金は、必ず自社の経営のために使わなければならないのです。当たり前のことなのですが、できない経営者がいるんですよね。

なお経営者への貸付金がやむを得ない場合もあります。例えば、自社の株を経営者が買い取りたいが、手持資金がそれほどないので、企業から経営者に貸付け、毎月の役員報酬から返済していく、こういうことなら自社の経営安定のために必要ですから意味のあることです。

金融機関担当者は、まだ融資ができる企業には積極的な営業をしてきます。個人的なことに資金が流れると、急速に資金繰りは悪化していきます。今までもそんな企業を嫌というほど見てきました。だからこそ、資金の使い道は事業目的に限定しましょう。

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代表 瀬野正博

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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