経理を任されている社員は、1つの預金口座で売上の入金や各種支払い、そして返済も管理したいけど、通常は複数の金融機関と取引をしているから、そうはならないことも多いでしょう。
金融機関ごとに入金用・支払用を分けていることもあるでしょうし、メガバンクが売上代金の入金や仕入等の支払口座、その他の金融機関は融資取引だけのお付き合いなんてこともあると思います。
しかし、金融機関とは融資取引に応じたお付き合いをした方がいいと思います。残高がそれほどないのならいいでしょうが、融資取引のメインあるいは純メインには、預金やその他のお付き合いもそちらに集中した方がいいです。
5,000万円(年利2%)の借入れをしている金融機関の預金口座に、3,000万円(年利0%)あったとしましょう。その場合、金融機関からは実質的には2,000万円(5,000−3,000)しか借りていないことになります。それで金融機関は年間100万円の利息収入が得られるのですから、実質の金利は5%といえます。したがって、金融機関からみればいいお客といえます。預金がほぼ0円なら2%のままです。
それだけではありません。売上代金の入金が安定的にあり、預金の平均残高が先ほどの3,000万円のように常に維持されている場合は、(担保として取ってはいないけど)実質的担保と考えプロパー融資もやりやすくなります。金融機関と企業双方にメリットがあります。
昨日訪問した顧問先は、コロナで業務が一時ストップしたため、可能な限りの資金調達をしました。最近の業況を見ても通常ならもう新たな融資は出ないと思います。しかし、融資残高に応じた預金取引もしているので、「資金繰りでお困りのことがあったら信用保証協会が否決してもプロパー融資でも対応します」と提案を受けています。
それ以外にも、自社への融資に前向きな金融機関で従業員の給与口座を開設するのも効果があります。金融機関内に預金がとどまりますし、従業員との個人取引も期待できるからです。
また、日本政策金融公庫とお付き合いがある中小企業は多いと思います。手持資金に余裕を持たせたい目的で公庫から資金調達したら、メインバンクあるいは今以上に取引をしたい金融機関の口座に預けておきましょう。そうすれば少しは優位に交渉できます。
メガバンクや融資に消極的な金融機関にたくさんの資金を預けても、まともに相手してくれるとは思えません。管理はやや面倒になりますけど、融資取引に応じた預金やその他取引を行うことで、金利などの条件交渉、積極的な金融支援が期待できます。