みなさんの会社を担当する行職員は、訪問して決算書を拝見したり、そのほかの経営状況を確認したりして、どう考えてもしばらくの間は融資をするのが難しそうだと思っても、「社長もう御社はしばらく融資は無理ですよ」とは言えない、というか言わない担当者がいます。
しかし、そのせいで経営がより悪化した顧問先がありました。
担当者は「今後もしかしたら信用保証協会の保証が出るかもしれない」そして「今回は保証出ませんでしたけど、今後は分かりませんからまた半年後に申し込んでみましょう」等と言ってきました。
社長は「信金さんがもしかしたら出るかもしれないと言っていた」というので、家族やノンバンクなどから借りては金融機関への返済を真面目に続けていました。
その信用金庫は「保証が出れば融資をする」と言うけど、では信用保証協会は何と言っているかといえば「税金の未納が大きすぎるので、それが解消しなければ保証は出せない」とのこと。その企業は未納を解消できないどころか、新たに未納を発生させていましたから保証は出ないでしょうから融資は出ないでしょう。
それなのに、半年後に再度チャレンジすれば出るかもしれないと期待を持ってしまい、納税やノンバンクからの借入金を無視して金融機関への返済を優先させていたのです。
世の中絶対はないけど、これでは融資が出ることはありません。本来は新規融資が出ないなら、金融機関には利息だけにしてもらって、手持ち資金の確保、納税、ノンバンクへの返済を優先すべきです。会うたびに言い続けましたが、この社長の考えは変わりませんでした。
もちろん、新規の融資は出ませんでした。
金融機関の担当者が常に自社に正しいアドバイスをしてくれるとは限りません。むしろ自分たちにとって都合の良いことを言ってくることの方が多いのです。新規融資を出せないと分かっていても、融資の可能性があると言って返済を進めたいでしょうし、リスケジュールするとなればその申請や手続きに時間がかかりますから、自分が担当している間は返済をさせようと考える担当者は多いのです。
もちろん、企業に適切なアドバイスをする金融機関や担当者もいますが、やはりそうでない担当者は多いでしょう。だからこそコンサルタント等を顧問としてせっかく使っているのであれば、専門家のアドバイスもよく聞くようにしてください。
その顧問先だった企業は、利息の支払い負担が大きくなり、より経営を苦しくさせてしまう結果となってしまいました。
借入金の返済は利息が高いほうが先ですし、税金はそれ以上に優先させなければなりません。担当者の発言を鵜呑みにしないようにしましょう。