3月決算の当社顧問先企業はすべて申告が完了しました。今日、提携税理士から連絡がありました。
3月決算の企業はそろそろ法人税等の申告が終わり、決算書を取引金融機関に提出する時期を迎えます。
経営者が自主的に持っていく、あるいは担当者から言われて提出をする、どちらにしても手渡しするだけで終わっていないでしょうか。
担当者:「やっぱりコロナのせいで赤字でしたか?」
経営者:「コロナの影響は大きかったね。1年間大変だったよ」
担当者:「ああそうですか。じゃあ後でよく見ておきます」
これでは担当者としては、「これからも厳しい経営が続くのだろうなぁ」と考えるでしょう。そう思われないためには、決算内容について説明することです。できればこちらから出向いて決算説明をすべきです。その方が好印象です。
別に金融機関に気を遣う必要はありませんが、担当者だけでなく支店長や融資課長などにも説明する機会が得られるかもしれません。
「決算説明で伺いたいのですが」と言われたら「ぜひお願いします」との反応があると思います。
■一歩踏み込んだ決算説明を
「前期は厳しい結果になりました。今期は頑張ります」では意味がありません。一歩踏み込んだ説明をしてください。
売上は決算書には「売上高〇〇〇円」としか書いてありません。それを商品あるいは取引先ごとなどに分け、年間の動向を金融機関に伝えましょう。
例えば
・A社「メインの売上先が新商品発売を断念し、前期比50%程度の売上となったことが影響し、総売上高も前期比30%減少しました」
・B社「中国向け輸出はすぐに回復したのですが、国内売上は緊急事態宣言が出たあたりから20%減少しました」
売上原価も一緒です。例えば「売上減少をカバーするため低採算でも売上確保に動いた」「利益率がしっかり取れる仕事だけを獲得したため、売上は減少したが利益率は改善された」「原料価格の高騰によって、売上に変化はなかったが利益は減少した」など、売上だけでなく売上原価や利益についても説明することはあるはずです。
固定費についても、人件費なら人員や賞与の削減、正社員ではなくアルバイトを採用、事務所の縮小や移転により地代家賃の削減、その他細かい経費でも削減に向けて何か取り組んだでしょう。逆に景気の悪い時だが、優秀な人材が見つかったので採用したなど、増加した経費もあるかもしれません。
1年間経営を続けてきたのですから話す内容はたくさんあります。
■今期の見通しも忘れずに
最後に今期の見通しも伝えてください。
まずは売上の見通しを説明しましょう。現時点で今期はどうなりそうでしょうか。
先ほどのA社なら「メインの売上先は新商品を正式にリリースするので、製造依頼がすでに来ており売上は通常通りまで回復する見通しだ」、B社なら「輸出売上については問題ないが、国内売上は前期とあまり変わらないかもしれない。しかし、売上先が2社増える見通しなので5%程度は回復できる見通しだ」と説明してください。
売上原価や固定費についてもそうです。「仕入先を見直し仕入価格を引下げ、売上総利益率を改善していく」「役員報酬を中心に人件費を見直す」「まだ手を付けていなかった保険料を見直し削減する」など、まだやり残していることがあるのならそれを説明してください。
前期の決算がダメだった理由、そして今期に取り組む内容や見通しから経営が良くなっていくことを伝えてください。