金融機関に融資を依頼するのが決算直前だったりすると、金融機関から「決算書の数字を見てから判断したい」と言われることがあります。
今月は3月ですが、3月決算の企業が融資を依頼すると、「5月に決算書が出来上がって申告しますよね。それを見てからにしたいのですが」と言われるわけですが、それは確定した決算書の数字で業績を確認したいからです。
これまでずっと決算内容が好調ならそんなことは言ってこないでしょうが、前期が赤字である等、不安な内容であればそこはよく確認したいと考えるのです。3月に融資を実行したものの、2カ月後の確定した数字を見たらとんでもない内容だったというのは、金融機関担当者としては避けたいのです。
しかし、企業からすれば決算書の数字が確定してからでは、資金繰りが間に合わなくなります。金融機関に言われて諦めるようなことをしてはなりません。
そのための対策としてはまず試算表を作ることです。
■試算表の作成
決算書完成まで待てないのであれば、現時点での正確な数字を試算表で説明しなければなりません。試算表は毎月作る決算書みたいなものです。今日は3月10日ですから、できれば2月、それはさすがに無理なら1月までの試算表は完成している必要があるでしょう。
さらに精度の高いものが必要です。例えば、入金ベースで売上を計上するのではなく、請求した時点で売上を計上する、仕入や外注費も支払った時点ではなく発生した時に計上する、期末で減価償却費を計上せず1年分を毎月に按分して計上する等です。
■決算予想
精度の高い試算表が出来上がったら、残りの月も予想も含めることで、今期の決算予想をしましょう。
残りが1~3か月程度なら売上の予想もできるでしょうから、損益計算書は作成できると思います。貸借対照表は勘定科目ごとに予想するのはやや難しいかもしれません。ただ、少なくとも試算表は高い精度で作成する、そして今期の利益予想はしっかりと行いましょう。
■メインバンクに相談
「次の決算を見てから」と言われるようなケースでは、やはり相談する先といえばメインバンクです。
メインバンクといっても、ただ融資残高が一番大きいというのではなく、日頃から自社の情報を提供し、コミュニケーションが取れている金融機関がいいです。
そのような金融機関は他行よりも自社の経営内容を把握していますから、提出する試算表や決算予想に対して、しっかり審査することができるはずです。
相談に行かれる時は、経営者と経理責任者だけで説明ができるのが理想的ではありますが、やや不安があるのでしたら、決算予想を一緒に作成したコンサルタントや税理士等にも説明の手伝いをしてもらうといいでしょう。
自社の経営を長年サポートしている専門家の説明なら、金融機関担当者もしっかり聞いてくれるはずです。