計画書作成で難しいのは売上目標

中小企業経営

計画書はこれから重要に

金融機関は、これまで決算書を審査の中心に据えて企業を格付けし、「この企業に融資しても問題ない」と判断すれば融資をしてきました。今後も財務内容が良好なら金融機関は積極的に融資をしてきます。

決算書を中心に企業を評価してみると、融資には消極的にならざるを得ないケースもあります。しかし、企業が持つ技術力や販売力、業界の成長性、悪化した経営の改善策を計画書としてまとめてみると、実現可能性が高く、融資を実行することで今後の経営は大きく改善される見込みが高いと判断されれば、金融機関は支援がしやすい環境になっています。それは、金融庁も認めていることなのです。

これまで決算書、担保・保証に大きく依存していた審査ですが、計画書はこれから一層重要になってくるのです。

このように書くと「それなら専門家にうまく書いてもらおう」「融資してくれるように明るい見通しを書いて提出しよう」と考える経営者がいます。

私のような支援側のコンサルタントや士業にも「全て引き受けます。社長は何もしなくていいです」と宣伝している方がいるようです。しかし、経営者が関与していない計画書なんて何の意味もありません。

ぜひ、経営者が中心となって、専門家の支援を受けながら作成しましょう。

売上目標の考え方

ダメな計画書でよくあるのが、楽観的な売上数値目標が並んでいる計画書です。

金融機関に評価してもらいたいからと、売上が根拠もなく毎期10%ずつ増加していくような計画書です。

好調な企業が10%売上を増加させるといっても金融機関は特に何も言いません。「御社ならできると思います。頑張ってください」というぐらいでしょう。もし未達だとしても特に責められることもありません。

しかし、経営が悪化し融資やリスケジュール等の金融支援を依頼するのなら、金融機関は売上増加の根拠を強く求めてきます。

そんな時に「何とか頑張る」とか「前年比10%増は可能だと思う」では説明として弱いのです。

年に数パーセントずつでも増加しているのなら10%も無理ではないかもしれません。しかし、減少傾向にあるのなら、しっかりとした説明が必要です。

企業全体で売上を考えるのではなく、分解して考えてみましょう。

例えば年商10億円の企業があったとします。
・A部門は5億円
・B部門は4億円
・C部門は1億円

そして、各部門ごとに対応策とその効果を考えてみるのです。

・A部門が取り扱う商品は、市場規模が今後縮小していくと見込まれるが、対応策Dによって今後も5億円を維持できると見込まれる。
・B部門は今後も安定した売上を維持できるが、対応策Eによって今後も年間5%程度の増加を見込んでいる。
・C部門は市場が急成長していることもあり、対応策Fで毎期20%増加が期待できる。

といった感じです。

ここではとても簡単に説明しましたが、このように部門、商品、営業所等に細分化して考えましょう。今後の売上の見通しを考えることは自社のためにもなりますし、金融機関への説明にも役立ちます。

金融機関から計画書の作成を求められている、あるいは計画書を作成しそれに沿った経営をしていきたい、とお考えの経営者様はぜひご相談ください。