経営計画策定の効果

中小企業経営

最近は経営計画策定の重要性を理解される経営者が増えてきました。「自社でも計画書を作成したいので手伝ってほしい」とのご依頼をよくいただきます。しかし、中小企業、特に小規模企業では、経営計画を策定しているのはそう多くはありません。

必要性は理解しているが、日々の業務に精一杯で、自社の将来について落ち着いて考える時間がない方も多いでしょう。とはいえ、これまでの経営を振り返り、5年後、10年後にどのような企業にしていきたいのか社内で考え、それを目指した経営をしていかなければなりません。

経営改善計画策定に関する調査結果

中小企業白書・小規模企業白書の概要2025年版に計画策定の効果が紹介されていました。

経営計画を策定している企業の割合

まずどれぐらいの中小企業が経営計画を策定しているのでしょうか、以下の図表のように約5割が策定していることが分かります。

効果はあるのか?

約半数の企業が策定していることは分かったとしても、手間と費用をかけて作成しても経営上の効果があるのかが気になるところでしょう。

7割超が効果を実感

経営計画を策定した企業の76.1%が「想定を超える効果が得られた」「想定した効果が得られた」と書いてしています。

これは意外と高いと思います。

ではどのような効果が得られたかについては次のとおりです。

「経営状況の把握」「自社の強み・弱みの理解」が上位にあり、業績の向上、補助金や融資の獲得がその下にあります。

「業績の向上」「融資の獲得」が上位になければ、計画策定の意味がないとの意見もあるでしょう。しかし、そうなるために必要なことは、まずは自社の経営状況や強み・弱みをしっかり理解するところから始まるのです。そこから計画を策定し運用し続けることで業績の向上にもつながり、金融機関からの融資獲得にもつながります。

意外に思われるかもしれませんが、そもそも自社の経営状況や強み・弱みを理解していない経営者は結構多いです。

運用し続けることが重要

経営計画を策定し経営計画書としてまとめるだけではまったく意味がありません。自社の経営課題や強み・弱みを把握し、これから何をすべきかを計画としてまとめたのに、今までどおりの経営をしていたのでは経営が改善されることはありません(当たり前ですが)。業績を向上させたければ、策定した計画を運用し続けることが重要です。

こちらの図表のように、経営計画を策定し運用している企業はしていない企業に比べ、売上高・営業利益ともに10%以上高いことが分かります。

PDCAサイクルという言葉があります。P(計画)、D(実行)、C(評価)、A(改善)の略で、この4つのステップを繰り返すことで継続的な業績改善を目指します。

PDCAサイクルを回し、計画内容を見直し続けることが業績向上のカギとなります。

時間と費用が問題に

このように経営計画の策定は経営にプラスの効果をもたらすことが多いです。しかし、特に小規模企業では人手が少なく人材がいない、時間がない、かといって外部専門家の支援を受けようにも費用面が気になるかもしれません。

確かに時間は策定する分だけ取られてしまいます。しかし、費用面については3分の2を国が補助してくれる制度があります。それを利用すれば少ない負担で済みます。

早期経営改善計画策定支援という国の制度は、中小企業が専門家と一緒に経営計画策定を行った場合、費用の3分の2を国が補助してくれる制度です。また、経営悪化が深刻でリスケジュールなどの金融支援を伴う本格的な経営改善計画を策定する場合、計画策定支援などに必要となる必要の3分の2を国が補助する経営改善計画策定支援(405事業)という制度もあります。

これらを利用するには当社のような経営革新等支援機関の協力が必要です。もし計画策定をしていきたいとお考えであれば、一度当社にご相談ください。無料経営相談を実施しておりますのでぜひご利用ください。

決算書に加え経営計画書も提出しましょう

経営計画書は毎年作成したほうがいいです。ぜひ決算報告時に計画書も提出しましょう。

ぜひ数年先まで策定

どうしても難しければ1期分だけでもいいですが、できれば計画期間は3期程度としましょう。もちろん3期先までなんて読めないと思うでしょうが、現時点で考えられる実現可能な数値計画でかまいません。他にも設備投資などの計画があればそれも盛り込むようにします。

また、金融機関に返済額の軽減などを求めるような場合、5年程度先までの計画を求められることがあります。その場合はそれに従ってください。

数字に根拠を持たせる

計画書には数値計画が必ず必要です。利益の減少傾向が続いているにもかかわらず、計画策定後は急激に増加するような計画書では信用されません。

もちろん根拠があって確実なのならかまいませんが、金融機関からの評価を意識し過ぎて作成するようなことは避けましょう。実現可能性の高い数値計画のほうが金融機関は評価します。

例えば売上計画なら、「顧客単価×顧客数」など企業ごとに異なりますが、根拠のある方法で予測してください。

また、自社全体で考えるのではなく、商品別、店舗別、部門別などに分けて考えていくと、より精度の高い数値計画になります。

四半期ごとに近況報告

計画書を提出して終わりではありません。計画通りに進捗しているのか、していなければどのような改善策を実行するのか、社内で検討しなければなりません。それは取引金融機関にも報告します。最新の試算表を持っていき計画内容との実績について報告してください。

たとえ計画よりも悪い結果になっていたといても隠すのではなく、その結果はなぜ発生したのか、それに対して自社はどう対応していくのかを説明してください。よくごまかしたり、隠したりする経営者がいますけど、悪い報告でもしっかり行ったほうが、金融機関からも信用を得られることになります。

まとめ

決算書や税務申告書とは異なり、未作成でも罰則があるわけではありません。しかし、これまで申し上げたように、業績向上や金融機関との付き合いにもプラスに作用します。

金融機関とのこれからの付き合い方は、経営計画書を提出し、定期的に報告していく姿が不可欠になります。