8月から経営改善計画策定支援事業を利用して経営改善計画書を作成した顧問先が、ようやく全金融機関から計画内容についての同意が得られました。
これまでの経営に問題があれば、赤字や、債務超過、借入過多などが決算書に表れます。これまでの経営を見つめ直してみると、いろいろ出てくるでしょう。無駄な経費が存在している、他社と比較しても商品・製品に優位性がないので価格競争に陥っている、過去の設備投資が裏目に出て借入金の返済が資金繰りを圧迫しているなど。
これまで黒字決算だからといっても安心はできません。なぜなら、粉飾をしている場合があるからです。経営が苦しい企業はかなりの確率で粉飾をしています。例えば売上の前倒し、仕入・外注の未計上、在庫調整、減価償却費の未計上などです。
その場合は粉飾をしなかった数字に戻してからにしないと、本当の問題点を見つけることが難しくなりますし、間違った改善策を実行し改善が遅れることにもなりますから注意しましょう。
今回の顧問先がそうだったのですが、資金繰りが危機的状況にある場合、経営悪化の窮境原因を見つけて改善策を策定している時間的余裕はないでしょうから、まずは全金融機関に半年程度のリスケジュールをしてもらい、その期間中に経営改善計画書を作成するようにして下さい。
経営改善計画書を作るとき一番悩むのが売上の予想でしょう。業種や各企業によって予想は様々ですから。「ずっと売上が減少してきたから、改善策を実行してもしばらくは減少かな?でもそれだと金融機関は支援をしてもしょうがないとなるだろうから、やはりここは増加する計画にしないとダメかな?」と考えてしまう経営者もいると思います。
それで何の根拠もないのに売上増加の計画を作ってしまう、これはやめましょう。金融支援を取引金融機関から受けるのですから、隠し事をせず正直な数字を書くべきです。
売上が計画通りに行くことはそう多くはありませんが、少しでも計画と実績が近くなるためには、売上を分解してみることです。事業ごと、店舗ごと、商品ごとなどに分解して、数値計画を作成すると精度は上がります。今後の見通しもつかみやすくなります。さらに自社の業界見通しが、各業界団体や公的機関から公表されていれば、それらも売上計画の参考になるでしょう。
普段から店舗、事業部等の部門ごとに収支が把握できるよう、経理処理しておくといいと思います。
不思議なもので、これからも厳しいと保守的に考える企業は、その後の売上は順調に行くことが多く、今日訪問した経営者さんもそうでした。逆に強気な計画を作る企業は、大幅未達になることが非常に多いです。経営者の意識の違いがその後の結果にも表れてくるのでしょう。