経営者は企業のトップとして日々経営判断を下さなければなりませんが、小さなことから大きなことまで様々です。小さなことでしたら判断ミスをしても経営に大きな影響はないでしょうが、大きな事案については慎重に判断しなければなりません。場合によっては事業継続が困難になることもあります。
当社には経営悪化で悩む経営者さんがご相談に来られるのですが、慎重に判断すべき内容を安易に実行してしまったことが原因であることは多いです。
例えば、「起業して取引先も徐々に増えそれに伴い売上も順調に伸びてきた。一気に事業を拡大するため人を多く採用し事務所も広い場所を借りたい」と、経営が順調に進んでいるとしばらくはこのまま成長していくだろう、だから人も増やしたいし、今より広い事務所を借りておこうとなります。場合によっては買ってしまおうという経営者さんもいます。
しかし、順調に見えた売上の成長は徐々に止まり、急増した固定費が原因で赤字になり、それを何とかカバーしようと値下げなどの無理な販売を行うようになっていきます。金融機関からの融資で資金不足をカバーするものの、その融資もいつかはストップし、赤字体質と過大な借入金が残る結果に。
そのようなタイミングで相談に来られるのです。
その時点から何とかしようと経営改善を進めていこうとしても、借入金の返済や利息支払い負担が大きく進まないことになります。再生できる可能性も低くなってしまいます。
生き残れる企業というのは、順調だった経営に陰りが出てきた時点で、少なくとも固定費の削減を行っています。「そんなの売上が減っているのだし、削減するのは当たり前だろう」と思うかもしれませんが、一度大きくなった規模を縮小することができない中小企業経営者は結構多いです。
そういう企業は、経営者のプライドが邪魔して身の丈に合った経営ができないため、無理な営業を行い売上計上する、粉飾をする、それで金融機関から資金調達して経営を何とか維持しているのです。
お付き合いされている、あるいはお近くに税理士やコンサルタントなどがいると思います。
金融機関や知り合いの経営者には相談できなければ、ぜひそのような方々に正しい判断か事前に確認してもらいましょう。
先ほどの例なら事務所家賃や人件費が増えたことで、これからいくらの売上を獲得しなければならないのかを計算してもらい、無理がない経営判断なのかを判断してもらうのです。
それでも結果的に間違った判断になることもあります。その場合でも定期的に経営アドバイスをくれる存在がいれば、早期に経営改善できる可能性は高いでしょう。
判断を下す前に相談をして経営をしたもののその判断が間違っていたら、直ちにミスを認めすぐに軌道修正することが大切です。