決算書の中に貸借対照表があります。左側が資産で右側が負債と純資産ですね。
資産の中には、現金、預金、受取手形、売掛金、商品、車両、建物、土地等が計上されています。
貸付金も資産に計上される勘定科目なのですが、中小企業の場合はそのほとんどが社長への貸付金です。
本当に社長に貸し付けた場合もありますが、経理がずさんで知らないうちに現金残高が増えてしまったので貸付金科目に振り替えた、それ以外にも損益計算書を黒字にしたいので経費の一部を貸付金で処理していることもあります。
正当な理由がなく貸付金が計上されている場合、そのほとんどは粉飾やずさんな経理処理が原因なのです。
よくあるのが、会社の口座から10万円出金して社長の財布に入れているものの、仕事と個人の両方で使ってしまうため、0円になったのに領収書は10万円分ないため、個人で使った差額は現金のままになってしまうのです。
それが日々積み重なっていくと、期末時点での現金残高が異常に膨れてしまい、帳簿上はたくさん現金があるはずだけど、実際には全くないということになってしまいます。そのため、現金を社長への貸付金として処理するしかありません。
中小企業でしたら多少は仕方がないケースもあるでしょう。例えば、当社顧問先のある会社さんは、大手企業から仕事を受注できたのですが、大手の担当者からその仕事で使うパソコンの購入を要求されました。仕事をもらうため指示された通り購入して渡したのですが、領収書も大手企業名で書いてもらい渡すよう要求されていました。そのため、その分を貸付金として処理していました。あるいは、表に出せないお金を貸付金で処理している会社さんにもたまに出会います。特に建設業とかで見かけますね。
利益を獲得するためそのようなやむを得ない事もあるでしょう。
しかし、金融機関はこの貸付金をあまり歓迎しません。
なぜなら、金融機関は機械購入、商品や材料の仕入、といった資金使途に対して融資をしているはずです。あるいは現預金残高が少ないため、資金繰り安定のためということもあるでしょう。
どちらにしても会社のために融資をしているのであって、社長個人への貸付金が目的で融資をしているわけではありません。したがって、貸付金があると「運転資金として融資したのに社長に流れているのでは」とみなされてしまうのです。
あまりにも金額が大きいようですと、しばらく融資は見合わせると言われることもあります。実際、言われてしまった社長さんが何人もいます。
ですから、貸付金は極力発生させないようにしましょう。