金融機関の担当者は、経営者の言動をよくチェックしています。中小企業は経営者の影響力が大きいですから、人柄や経営者としての資質に注意が行くのは当然でしょう。
皆さんは次のようなケースでの対応は、A社長、B社長、どちらに近いですか。
(1)決算書を説明する場合
A社長
「数字の事は妻と税理士がやっているから、私はよく分からない。必要でしたら説明させますよ。」
B社長
「新商品の販売が今期後半からだったこともあり売上は前期とほぼ一緒でしたが、一部経費で見直せるところがあったので、利益は前期より10%増加させることができました。しかし、自己資本比率が15%ではまだ経営が安定しているとはいえませんから、20%を目指す経営をしていきたいと思います。」
AとBでしたら、B社長を評価するでしょう。
「B社長のように〇〇比率なんてよく分からないよ」という経営者さんは、決算書の内容を説明する時、前期の決算書と比較して話すだけでもいいです。
前期と今期を比較して大きく差があるところをチェックしておいて、経理社員や顧問税理士からその差の原因を聞いておくのです。そして、それを説明するだけでもかなり違います。また、できれば今後はどうなりそうか見通しも付け加えておきましょう。
今まで「かみさんにかませている」「税理士に聞いてくれ」と言っていた経営者さん、ぜひ実践してみてください。
(2)業績悪化の理由を説明する場合
A社長
「こんなに業績が悪いのも、中小企業から見ればまだ景気が悪いからだ」、あるいは「政府が悪い」「総理が悪い」「うちの商品の良さが分からない客がバカだから」等。
B社長
「業界の市場規模が縮小しているため、その影響で当社も売上が5%減少しました。仕入先の見直しや、新たな商品の開発を行い乗り切っていきたいと考えています。」
金融機関は当然、B社長を応援したいと考えます。
金融機関担当者は、A社長のように他人のせいにしてきても、同情するような対応をすると思います。しかし、心の中では「経営者としてはどうなのかな?」と考えてしまうのです。
企業向け融資の審査基準は決算書が全てではありません。経営者の資質も意外と大きく影響することを忘れないようにしてください。
経営者だって人間です。たまには愚痴をこぼしたくなるのは仕方ありませn。しかし、担当者の前で毎回、A社長のようなことをしていては、評価にも影響してしまいますよ。