資金繰り

保険を利用した節税には注意を

2018-06-29

せっかく稼ぎ出した利益を税金で取られるぐらいなら節税しようと考えたとき、すぐに思い浮かぶのが保険を利用した方法かもしれません。

支払った全額(あるいは1/2等)が損金として算入できるし、節税効果が大きいということで、一度は聞いたことがあるでしょう。

金融庁が問題視

保険会社は昨年から事業リスクをカバーする新商品を販売したものの、その実態は節税を目的とした商品だということで、金融庁は実態調査に乗り出したという報道がありました。

中小企業の事業リスクをカバーする目的ならいいのですが、節税を目的とした商品のように販売し、契約が増加しているということを問題視しています。

過去にも、逓増定期等、全損タイプの保険商品を販売しては、国税庁が通達により一部を損金算入できなくするよう対応してきました。今回の金融庁の動きにより、今ある保険商品もそのような流れになることが考えられます。

保険での節税は慎重に

利益が100万円でそれだけ現金も増えたとします。そして、法人税等の税率が30%(均等割りは考えません)、保険料は年間100万円で全額損金算入と仮定し、保険に入った場合と入らなかった場合を考えてみたいと思います。

(1)保険に入らない
100万円の利益が出ても保険に加入しなければ税金は30万円、そして70万円が手元に残ります。

(2)保険に入る
保険加入で100円が経費となりますから利益は0円、税金も0円になりました。しかし、保険料で100万円持っていかれるので、手元には1円も残らないことになります。

全額損金算入タイプだけでなく、実際には1/2損金というタイプも多いでしょう。そのタイプの保険商品で税金を0円にしようとすると、200万円の保険金が必要となります。30万円節税するために200万円キャッシュが出ていくのです。

節税の目的は確かに果たしています。しかし、これだけ資金の流出が発生し、資金繰りは悪化することになるのです。

しかも、解約した時の返戻率と節税効果をプラスした実質返戻率のピークが5年だとしたら、5年後に解約した時には税金がかけられるのです。結局は税金を繰り延べしただけです。

それに、5年間もの間、保険料を支払うだけの利益を出し続けることができるとは限りません。

本当に必要な保険を最低限加入すれば十分

保険会社の人から「こんなに利益が出るのですか。御社ならこれからもそれぐらい利益出るでしょうから、保険を使って大掛かりに節税しましょう」なんて言われて保険に加入したものの、途中で資金繰りがきつくなってしまって、酷い場合は損失を出して解約した顧問先もありました。

資金に余裕があるなら、節税のために保険に入っていいかもしれませんが、そうでないなら慎重になさった方がいいと思います。

決して保険に入るなと言っているわけではありません。企業の事業リスクをカバーする目的で加入するなら、それはもちろんいいことです。しかし、節税だけが目的であったり、保険会社の言いなりになって高額な保険に加入したりするのは気を付けてください。

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エム・エヌ・コンサル代表 瀬野正博

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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