最近の金融機関の不祥事といえば次のようなものがありました。
商工中金は、優良企業の試算表の数字を悪くして、経営の悪化した企業と偽り「危機対応融資」を実行していました。
スルガ銀行は、シェアハウス向け融資が大きな話題になりましたから、知らない人はいないでしょう。
みちのく銀行は、設備資金の融資業務において、外部の保証機関(大半が県信用保証協会)に提出する領収書偽造15件、資金使途違反2件の融資実行が見つかりました。
最近だけでもこれだけの銀行で不正融資が発覚しました。
そして、東日本銀行です。融資時に算定根拠が不明瞭な手数料を徴収、地方自治体が手数料徴収を禁じているにもかかわらず制度融資で手数料を受け取っていたり、必要以上に融資をしてその一部を定期預金にさせたりしていたことも判明しました。
東日本銀行といえば、住宅ローン等の個人ローンよりも、中小企業向けの融資に力を入れていることで知られています。年間2千件の新規開拓目標を掲げ、法人開拓に力を入れてきました。
横浜銀行との経営統合がありましたし、グループ内での存在感を高めるためにも過度な圧力がかかり、不適切な融資等が横行したのかもしれません。
商工中金や東日本銀行で不正融資等の行為がありましたが、これまでの支援に感謝している企業も少なくありません。念のため申し上げておきます。みちのく銀行のことはよく分かりませんが、地元では頼りにされる銀行だと思います。スルガ銀行は経営者が嫌いなのでどうでもいいです。
金融機関によって違いますが、現実にそぐわないかなり高いノルマを現場に課すことも珍しくありません。私がいた銀行もそうでした。高いノルマを毎月課せられ、月初めの営業会議でどうやってノルマをこなそうかと考えるけど、結局これといった方法は見つからず、とにかく多く法人先を回ってお願い営業するしかないという結論に至ります。
取引先への必要もない融資のお願い、必要額以上の融資を実行することになります。それでも無理なら上から強いプレッシャーをかけられますから、不正なことをしてもノルマをクリアするしかないと考えてしまう銀行員も一部いるのです。
「今後の業績によっては融資が出るか分からないから、今のうちに借りておきましょう」とか「資金繰りにゆとりを持つため多めに借りておきましょう」なんてあたかも経営者のために言ってくることありますけど、ほとんどは本部から与えられたノルマのためです。
だから、私みたいにお客さんが必要とする金額しか融資をしないような行員は出世しません。
顧客の知らない所で試算表等の数字をいじったり、書類を偽造したりするのは悪質です。そんなこと行員も知っているけど、やらざるを得ないほど追いつめられていたのでしょう。金融機関の頭取や理事長のみなさん、もう拡大路線のノルマはやめたらいかがでしょうか。
経営者のみなさんは、融資を受けたいからと不正な行為に協力する事だけは絶対に避けてください。
それと、銀行から借りてくださいとお願いされても、本当に必要ならもちろん借りた方がいいけど、そうでないのなら慎重にしましょう。中小企業経営者の中には、手持ち資金が増えると無駄遣いをする人が多いですね。しっかり管理できる方なら、余計に借りても他行の口座に置いておくことができるでしょうけど、そうでないなら要注意です。
今ご紹介した銀行だけではありません。他の金融機関でも不正な融資等を行っているところを知っています。
自行庫の利益の事だけを考えて行動するのではなく、取引先企業の事もしっかり考えてお付き合いしてくれる銀行員と付き合うようにしましょう。