資金繰りの悩みを聞いていると、かなりの確率で決算書は粉飾されています。粉飾は経営者本人がやることもありますが、税理士が提案してくることもよくあります。そうすると、経営者としては「そんなことしていいのかな? でも税理士が提案してくるのだからいいのだろう」と考えてしまうようです。
税理士は顧問先の減少を避けるため、金融機関の担当者は自身の営業目標のため、経営者は自社が存続するため、という3者のために粉飾は行われます。
最初は少額で始めても徐々にエスカレートしていき、なんかそろそろまずいかなと思った頃には、もう金融機関には言えない数字になっていることがよくあります。
気になっている経営者さんが多いのでしょう。当社のホームページ「粉飾決算に手を出してしまった このままでいいのだろうか」にアクセスする方はとても多いですから。
粉飾決算を提案した顧問税理士や経営コンサルタントも、自分たちが主導して粉飾したにもかかわらず途中で逃げてしまう人もいます。「前の方が手を引いてしまったので、継続して粉飾した決算書を作ってくれませんか」と相談されたことは何度かあります。もちろんすべてお断りしました。
融資相談で私が「正直に話したらどうですか?」と尋ねると、「そんなことして大丈夫?」とか「とてもそんなこと言えないですよ」という返事が多いですね。
このブログでは、「粉飾決算はやめましょう」と申し上げておりますが、おそらく経営者さんの中には「やりたくはないけど、そうしなければならない時もある」とおっしゃる方もいるでしょう。
確かにそうかもしれません。いくら金融庁が企業の将来性・継続可能性を見ろと言っても、決算書が悪いと態度が変化する金融機関なんていくらでもありますから(例えば、K信用金庫)。だから私はそういう経営者さんを責めるつもりは一切ありません。
粉飾決算が頭をよぎったら、今までの経営に大きな問題があるということです。やるべきことは粉飾決算ではなく経営改善です。
自社の経営実態を知るには、粉飾をする前の決算書に戻してみる必要があります。いつから赤字になっているのか、利益率等が悪化しているのかが明確になります。そこから経営悪化の原因を探し出し、改善策を策定する必要があります。
粉飾してしまったことが言えないうちに粉飾額が膨らんでいき、ますます言えなくなってしまいます。その結果、経営改善が遅れることになります。そうなければ廃業はより近くなってしまいます。
また、いつ雨が降ってもいいように、晴れの日のうちに資金調達しておくことも考えたほうがいいでしょう。
雨の日の資金調達は不可能ではないとしても、やはり晴れの日よりも難易度は上がりますし、準備する書類も増えてくることが考えられます。
好調な業績がいつまでも続くことはありません。好調なうちに資金調達しておき雨の日になったら粉飾で資金調達せず、あらかじめ調達した資金を使い雨の日を乗り越えるようにしてください