中小企業経営

難しい飲食店経営

2020-10-09

帝国データバンクによると、今年1月から先月までに1000万円以上の負債を抱えて法的整理の手続きをとったラーメン店は全国で34件に上りました。比較ができる2000年以上では去年の36件だったので、それを上回るペースとのこと。NHKや朝日新聞、ヤフーニュースなど報道されていました。

NHK2020年10月9日「ラーメン店倒産 9月までの件数 過去最多に 新型コロナ影響

理由として競合店との競争激化があるでしょう。飲食業の中でもラーメン店は、設備投資に必要な資金が低いから参入しやすいですし。確かに、私が住んでいる千葉県市川市の本八幡駅周辺もラーメン店の開業が多いです。しかし、行列ができていたかと思えば、しばらくしたらすぐに廃れてしまっているお店が目立ちます。

ラーメン店に限らず飲食店は、廃業率が全業種の中でも高い業種です。やや古い調査結果ですが、日本政策金融公庫が2016年12月28日に公表した「新規開業パネル調査」では業種別の廃業状況が分かります。2011年から2015年の全業種の廃業率の平均は10.2%ですが、飲食店・宿泊業は18.9%です。宿泊業とまとまってはいますが高いのは間違いありません。

オーナーがおいしい料理を作れるから成功するとは限りません。料理人としては一流でも経営者としてはそうなれない方がいるからです。やはり利益を出しながらお客様に満足してもらえる料理を提供できるかどうかです。

FLR比率あるいはFL比率というものがあります。Fはフード(材料費)、Lはレイバー(人件費)、Rはレント(店舗の賃借料)です。

FLR比率なら売上の70%以内に収め、それ以外に20%以内に諸経費を抑え、10%を残すことが目標です。利益は今後のために、あるいは金融機関への返済に回すことになります。ただ現実にはそんな利益を出せている飲食店はかなり少ないと思います。飲食店はかなり薄利多売です。日本政策金融公庫の業種別経営指標調査を見ると、飲食店は売上高営業利益率の平均が-1.4%です(一般飲食業 2020年8月掲載)。つまり平均で赤字なのです。

さらに全国展開している飲食店との競争も避けられません。そして、自動車で移動する地域でないなら立地は大きな影響がありますし、リピート客を増やすには料理以外に接客態度も重要でしょう。

低賃金・重労働なため継続的に人材を確保することが容易ではありません。近年特にそうです。人件費は上昇していますし原材料も同じだと思います。

そう考えると飲食業での起業は特に慎重にされた方がいいです。おいしいのは当然ですが、それ以外にも食材を安く仕入れられるルートがある、あるいは通常では手に入りにくいものを仕入れることができる。いい物件を安く借りられる、接客は得意など、他店よりも有利なものがいくつかないと厳しいのです。

むしろあまり規模を大きくせず夫婦だけで営んでいる飲食店の方が、あまり人件費がかからず長生きができるようです。

当社顧問先がそうです。夫婦中心で営んでおり、忙しい日だけアルバイトに来てもらっているのであまり人件費がかかりません。そして、かなり田舎なので立地は悪いですが、店舗の賃料は安く、1人1台自動車を保有する地域です。口コミで来てくれるので何ら問題はありません。そんなこともあり20年近く経ってもお客さんで賑わっています。

飲食店経営は難しいですけど希望する方が多い業種です。ぜひ厳しい現実を理解して起業準備をしてください。

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代表 瀬野正博

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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