売上ではなく粗利を目標に

業績が悪化している企業によく見られるのが、売上にこだわりすぎることです。売上がなければ利益も出てこないからもちろん大切です。しかし、そういう企業の経営者は売上だけで利益を見ないのです。
・売上が前期より下がったら銀行が引いてしまうのでは?
・売上を獲得すればおのずと利益だって増えるだろう
・資金繰りの問題も解決するためにも、とにかく売上を獲得していこう
と考えてしまうのです。
粗利が大切
しかし、その売上もしっかり利益が確保できる請求金額でなければなりません。
「この案件はいくらの売上になるのか」ではなく「いくらの粗利が得られるのか」を強く意識した経営をしていく必要があるのです。
売上金額が目標になると、営業担当者は安易な安売りをしてでも契約が取れるなら、利益の事を考えずに受注するようになるでしょう。社長から今月の売上はあと〇〇万円足りないと発破をかけられればなおさらです。
しかし、粗利が獲得できなければ、役員報酬や家賃等の諸経費を支払うことができません。それに銀行からの借入金の利息支払いや返済もできなくなってしまいます。
自社が維持していくのに必要な粗利を獲得できなければ、赤字や預金残高減少が続き、それを穴埋めするために資金調達をしなければなりません。借入金残高が増加すれば返済と利息支払いがさらに増加、今以上に経営を悪化させることにつながります。
だからこそ、売上よりも粗利を強く意識して欲しいのです。
粗利の管理徹底を
年間の経費や返済額から必要とされる粗利が自社にはいくら必要なのかを確認し、そこで年間の進捗状況を管理しましょう。
当社の顧問先で建設関連の仕事をしている会社さんがあります。
その会社さん、以前は年商1億円、粗利は1,500万円(利益率15%)、諸経費が1,440万円(毎月120万円)でしたから、利益は60万円程度(税金は考慮せず)。そこから返済をするとキャッシュは毎期マイナスでした。大手企業の仕事も多かったのですが、それらはとにかく利益が少ないものが多かったです。
そこで、思い切ってそれらの仕事を捨てて、売上は減少しても利益率の高い仕事だけを選ぶようにしました。
その結果、年商は6,000万円まで減少したものの、粗利は1,800万円(利益率30%)、諸経費は1,440万円でしたから、利益は360万円まで回復することができ、金融機関への返済をしてもキャッシュはプラスに改善されたのです。
それまでは税金滞納をして税務署から怒られ続け、メインの信用金庫からは冷たい対応をされていましたが、今では「プロパーでいいので借りてください」と言われる企業にまでになりました。
ぜひ、売上ではなく粗利を社内の管理で徹底するようにしましょう。