報道によると、決算書を粉飾し銀行から総額20億円以上を詐取したとして、経営者ら5人が逮捕されました。
ラポールという会社は、架空の売上を計上するなどして、決算書を福岡県内の銀行に提出し、虚偽の書類を銀行に提出して約1億円の融資を受けた疑いです。2015年以降、全国の十数社の金融機関から同様の手口で20億円以上集めたとみられるとのこと。
金融ブローカーの黒木正博容疑者はなかなか有名な方ですが。金融ブローカーというから、てっきりTさんかと思いました。
みなさんは、「銀行員はしっかり審査しているのだろうか?」と思われるかもしれません。
実際、私もちゃんと審査していないだろう?と感じることよくあります。当社の顧問先でも「もう貸さない方がいいのでは?」ということがよくあるのですが、平気でプロパー融資を出してくる金融機関があります。
営業目標の達成が優先されてしまうのでしょう。企業の数が減少し続ける中、「融資残高を減らすな」「新規法人先を開拓しろ」と言われてもそう簡単にいくものではありません。そんな時になかなかいい数字の決算書がやって来たら、融資する方向で進んでしまうのかもしれません。
あせって融資をするのは危険なのですけどね。
なぜかよく分からないのですが、反社会的勢力ではないけど、でも怪しい人たちとのつながりを持っている経営者に出会うことがあります。
そして、そういう経営者は資金繰りに困ると、怪しいお知り合いから「俺の知り合いなら融資受けやすいように決算書作ってくれるよ。紹介してやるよ」と言われます。私や税理士が正しい数字の決算書や申告書を作っても、それを基に別の決算書を作ってしまうのです。「その怪しい専門家が儲かるだけだよ」と言っても、資金繰りで追い詰められた経営者はお願いしてしまうことがありました。
今回逮捕された黒木という容疑者は、自身の手数料獲得のためなのか、暴力団に流れたのか分かりませんが、資金繰りに悩む中小企業を支援するということで粉飾決算を手伝い、高額な報酬を得ようとする人がいるのです。ぜひ依頼しないようにしてください。
先日お会いした経営者さんは、「以前資金繰りでとても苦しんだので、これからはそうならないよう顧問契約をお願いしたい。それでうちの会社におかしなところがあったらどんどん指摘して欲しい」とご依頼がありました。
本当にそうだと思います。病気と一緒で経営問題も早期発見が重要です。進行するほど死亡や後遺症が残るリスクは高くなります。そうならないためにも毎月1回は自社の数字をチェックし、悪い方向に進んでいないかを確認、早期に経営改善を行いましょう。そして、金融機関にも定期的な報告を行うようにしてください。