定額法の採用

減価償却をするかしないかは、法人税法上は任意とされていますが、金融機関との取引においては会計上のルールに従って強制だと思った方がいいです。法定償却分まで減価償却を行うことが求められ、していない場合は粉飾とみなされることもあります。

10年以上前、顧問先が今後は金融機関からの融資には頼らないからと、減価償却をしないでいました。繰越欠損金が多額にあったので、減価償却をせず少しでも利益を出して欠損金を使うためです。

しばらくしてリーマンショックが発生、さすがに融資を受けなければならなくなりました。しかし、担当者から減価償却を実施しなかった理由をかなりしつこく聞かれました。融資は出たのですが、減価償却をしてもしなくても良いというのが理解できなかったようです。そのせいで融資実行が数日遅れました。

利益を出した方が金融機関からの評価が高いからと、減価償却をしない企業は少なくありません。気持ちは理解できますが意味がありませんから限度額まで計上しましょう。まともな金融機関なら「利益も大切ですが返済能力ですよ」と言ってくるはずです。

減価償却方法は一部を除いて定率法と定額法があります。そして、企業の多くが定率法を採用しています(建物等は定額法)。それは企業が償却方法を選択しなかったときは、法人税法で定率法を選択したものとみなされるからです。

定率法の方が初期において償却額が大きいため、節税の効果が高いことから多くの中小企業で採用されています。

ただ、定率法にも問題があります。最初は償却費が多く、徐々に少なくなっていきますから、積極的な設備投資を行うと減価償却費が急増し赤字になる可能性があります。それに減価償却額が毎期違うため、売上高が一定であっても利益が変動することになります。

節税よりも資金繰りや金融機関との付き合いが大切です。6割以上の企業が赤字であることを考えると、節税効果が高い定率法よりも、減価償却費が毎期一定である定額法を選択することも検討してみましょう。

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