難しい撤退の判断

先月27日のブログでも書きましたが、山形県の百貨店 大沼が経営破綻しました。

昨年から支援者の資金的支援を受けながらの経営が続き、今後も支援の意向があったそうですが、これ以上は迷惑をかけられないとの判断に至ったとのこと。

支援を受け入れていればとりあえず経営は継続できたでしょう。

しかし、山形県の人口減少や少子高齢化がさらに進みますし、郊外の大手スーパーとの競争、隣の仙台市とは1時間で行ける範囲でありそこには有名百貨店があります。さらに消費税率が10%に引き上げられ、大沼の将来性を前向きに考えることはほぼ不可能です。

山形市長が買い支えてと会見した頃にはいつ廃業してもおかしくはありませんでした。320年の歴史、地元からの期待、取引先や従業員に迷惑をかけたくない、と経営者も最後まで悩んだことでしょう。資金繰りも綱渡りの状況が続いていたことから、従業員には突然の解雇宣告、廃業せざるを得ないことに。普通、百貨店なら閉店のセールスをやりますけど、それすらできませんでした。

 

企業が廃業や事業を撤退する判断というのは意外と難しいものです。

「もう少し頑張ればいつかは売上が回復する(かもしれない)」、「ここまで多額の資金を投入したのだから、ここで撤退したらそれが無駄になってしまう。だから撤退なんて判断はできない」、「倒産したら自分は無職になってしまう。今さらどこかに勤めるなんてできない」、これは経営者からよく聞く言葉です。

このような考えから自己資金をすべて投入する、金融機関には嘘で固めた決算書を提出し資金調達を試みようとします。でもそうやって回復することは極めて稀で、どこかで資金繰りは続かなくなります。

私がまだ20代の頃の話なのですが、高齢のご夫婦で経営されている顧問先がありました。ある事業を立ち上げようと法人を設立したもののまったくうまく行かず、金融機関以外にも1億円近い自己資金を使っていました。そんな頃に私が担当したのですが、ご夫婦に残されたお金はもうありません。そんな時に社長であるご主人が亡くなり、奥さんは国民年金だけでは暮らしていけず親戚を頼って生活することに。

もう言っても仕方がないのですが、1億円を使い切る前に「この事業は無理かもしれない」と撤退を考えることはしなかったのかなと今でも思います。

「この新規事業は3年赤字なら撤退を検討しよう」「金融機関からの資金調達ができなくなり、自己資金を使い果たしたら廃業を検討」などと立ち止まって検討する基準を設けたほうがいいです。

新規事業を始めたもののうまくいかず、利益を生み出している既存事業からの資金を投入し続けていくうちに、黒字の事業も調子が悪くなるものです。

廃業するタイミングもそうです。多少借金が多くても、顧客からの支持を得て今後も利益が出せると客観的に判断できるなら継続を検討するべきですが、正直見通しが立たない、その他事業に手を出すのも難しいということなら、廃業も検討するべき段階です。

金融機関から完全に支援が受けられない、友人知人や高金利の金融業者に相談しなければならない、そんなときも廃業を考えるタイミングでしょう。

判断を誤ると今後の事業継続に大きな影響を与えますから、経営者一人では判断せず経営幹部や信頼できるアドバイザーにも相談しましょう。

 

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