貸借対照表には固定資産が計上されているけど、実際には存在しない、そんな決算書を見る機会が増えています。最近ブームなのでしょうか。
1、ある工務店さんとの面談
「これが当社の決算書です」、手渡された決算書を見ると車両が5台あります。本当はすでに存在しないのだけれど、減価償却していないためそのまま残っている決算書を見ますがそれではありません。
私:「確か社長と従業員お二人の会社さんですよね。なぜ車両が5台もあるのでしょうか」
社長:「実は経理がぐちゃぐちゃで現金残高が大幅に増えてしまうのです。銀行融資を考えると、現金や貸付金にすると見た目が良くないからと、車両運搬具にしちゃったのです」というお答え。
会社の通帳から出したお金はすべて事業のために使えばいいのですが、「領収書を無くした」とか「個人的なことに使った」、それが1年間たまってくるとかなりの金額になってしまう、そんな中小企業は結構あります。
社長への貸付金として処理すると、金融機関から厳しい目で見られるし、税理士からは貸付金に対する利息を計上しろと言われるから、あまりいいことはありません。
それをごまかすには固定資産として処理すれば、数年かけて減価償却で無くしちゃうことができるから、困った経営者さんには都合がいい処理だと感じるのでしょう。
2、あるサービス業の会社さんとの面談
私:「この内装工事の金額ですがかなり高額ですよね。どこを工事したのでしょうか」
社長:「本当はそんなにかかっていないんだ。設備資金で取引銀行から融資を受けて建設会社に支払ったら、差額はこっちに返してもらうことになっているんだよ。そのおかげで手持ち資金にゆとりが出るよ」
これは昔からよくある不正のやり方ですね。建設会社は仕事に加え、ちょっとお礼ももらえるので断れないでしょう。
どちらのケースも減価償却をすれば返済能力にプラスと考えてもらえるし、金融機関からの融資にも効果があり、いいことずくめに見えますが、やっぱり金融機関を騙していることに変わりはありません。あとでバレたら大変なことになりますよ。
1のケースは、現金を極力扱わない経理のやり方で防ぐことができます。当社の顧問先も毎年100万円程度増加していましたけど、経費を社長が一旦立て替え後でその金額を社長口座に振り込むようにしました。
2のケースは、こんな不正はせず資金繰り表などを使って運転資金として堂々と交渉しましょう。それに資金使途を偽って資金調達すると、今後の資金繰りに悪影響を及ぼすこともあるかもしれません。
実際、信用保証協会に設備資金を運転資金と説明して保証を受け続けていた企業が、本当に運転資金が必要となって申し込んだら、「運転資金はもう必要ないでしょう」と否決されたケースもありますから注意しましょう。
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