中小企業経営

中小企業金融円滑化法施行からまもなく10年

約10年前の2009年(平成21年)12月に中小企業金融円滑化法(金融円滑化法)が施行されました。

10年前なのでこの金融円滑化法をご存知ない方もいるかもしれません。

リーマンショック後の中小企業の倒産等を防止する措置としてスタートしました。

金融機関には返済条件変更等の努力義務を課すことで、中小企業の資金繰りを安定させること、中小企業は返済猶予や条件変更をしてもらっている間に、業績改善に取り組むことが求められました。なお、住宅ローン利用者も対象です。

「中小企業の経営が悪化し資金繰りが苦しいのだから、金融機関は返済額を軽減して応援してあげなさい」ということです。

この法律は金融機関に努力義務を課すものでありますが、金融庁が実施状況を監視していることもあり、実際には強制されるのと同じでした。スタートしてみると多くの金融機関が条件変更をほぼ100%実行しており、現在でもリスケジュールの実行率は非常に高いです。

民主党政権になりこの法律が施行される前から、赤字や債務超過の企業であっても実現性の高い抜本的な経営改善計画があれば不良債権として扱わないとされていました。しかし、中小企業の多くは経営改善計画書なんて作ったことがありません。

そこで「経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合は不良債権として扱わない」とするちょっと強引なルールまで作られました。

それまではリスケジュールといえば、金融機関に経営改善計画書を提出して説明し、同意を得るのにもなかなか手間がかかるものでした。

金融円滑化法は2013年3月末に期限を迎えましたが、金融機関には引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めることが求められています。そのため、資金繰り悪化に悩む中小企業がリスケジュールを相談しやすくなったのは間違いありません。自社の経営改善を何とかしていきたいと本気で考え実行している中小企業経営者には良い環境です。しかし、このような金融機関の行き過ぎた対応が、一部の経営者に勘違いをさせていることも否定できません。

「経営改善が進まなくても、中小企業には厳しい経営環境が続いていると言えばリスケジュールに応じてくれる」、「リスケジュールに応じてくれたのだから当社の経営は問題ないのだろう」と、経営改善の取り組みを怠っている経営者が私の周りにもいます。

金融機関担当者も、順調に経営改善が進んでいる企業には新規融資をしたり、販路開拓を支援するなど金融以外での支援を行っていたりするケースもありますが、あまり進んでいない企業に対しては自分が担当の間に倒産しないようリスケジュールで延命させているケースは多いでしょう。

リスケジュールがずっと認められていると、いつしかそれが当然のように感じてくるものです。しかし、その状態は正常なものではないことを分かって欲しいと思います。

今までたくさんの経営悪化した企業を訪問してきましたけど、やはり経営改善意欲が高い、困難から逃げない経営者がいる企業は回復する可能性は高いです。

今日午前中会ってきた顧問先は、5年連続の大赤字、しかも取引銀行への返済ができなくて数か月前に代位弁済を受けてしまったということでお見えになりました。社長と社員2人だけの会社ですけど非常に意欲が高く、特許を取得しこれまでの取引先の業務を大幅に改善する商品を開発、新たな取引先の開拓が進み再生の可能性が見えてきました。

経営意欲がなくなった、再生の見通しが立たないなら、経営者の肩書に固執せずこれ以上無理をしない選択肢も視野に入れたほうがいいかもしれません。

金融機関にリスケジュールをお願いする前に、赤字決算や債務超過、資金繰りが苦しい、税金の支払いが難しいなどいろいろ危険な兆候が出ているはずです。対応が遅れれば遅れるほど経営改善は困難になりますし、早い対応をしておけばよかったと後悔することになります。ぜひ前向きな経営をするためにも、決算書や試算表をチェックし自社の経営を定期的に見つめ直すようにしてください。

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