「本当は黒字なんです」は通用しない

中小企業経営者が関心を持つことの一つとして節税があります。

税金を減らすには節税対策を実行する必要があります。しかし、売上を隠す架空の経費を計上する等の脱税の方が一応大きく税金を減らせます。そのため、利益の出ている中小企業によくあることですが、脱税またはそれに近いようなことをしてしまう経営者はいます。

以前勤めていた税理士事務所でも、「こんなに税金が発生するの? 払いたくないから何とかしなさいよ」と怒り出す経営者がいました。どこから集めたのか分かりませんが、領収書をたくさん持ってきて「忘れていたけどこれも会社の経費だった」と言ってきます。仕方なくそれで申告書を作成したこともありました。

そして数か月後、メインの信用金庫に融資を申し込んだところ、「こんなに利益が少ないのでは希望額の融資は難しいです」と言われたらしく、今度は「何でこんなに利益を減らしたのよ」と怒ってきました。当時は私も雇用される立場だったから従っていましたけど、今ならそんなこと要求してきたら即刻付き合いをやめるレベルです。

わざと黒字を赤字にしたと言ってくる経営者がいます。この例の企業のように確かに本当にそうなのかもしれません。しかし、金融機関にはそれが本当なのかどうなのか分かりません。

それに脱税をした企業と解釈することもできます。決算書を正しいルールで作成しない企業なのだから、今後黒字決算であっても逆に「本当は赤字なのでは」と疑われることにもなるでしょう。

「本当は黒字だった」とどんなに言い訳をしても、金融機関にとって重要なのは決算書に載っている数字です。黒字決算なら粉飾をして本当は赤字なのでは?と疑うことはあっても、赤字決算は赤字であり「本当は黒字なのでは?」と疑ってくれることはありません。

節税したい気持ちは理解できますが、脱税をすれば税務調査で見つかる可能性は高いですし、金融機関からの評価も悪化しますから、何一つ良いことはありません。

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