銀行融資

改正信用補完制度スタートから1年

昨年4月からスタートした改正信用補完制度は1年が経過しました。

改正内容は大きく2つです。

1つ目は、中小企業のライフステージごとの多様な資金ニーズに対して、これまで以上にきめ細やかな資金需要に対応するために、保証制度の創設や支援内容の拡充が行われました。

そして2つめが、信用保証協会と金融機関のさらなる連携強化です。現在、一部の保証制度を除いて原則8割保証ですが、各中小企業の実態に応じて、プロパー融資と信用保証付き融資を適切に組み合わせ、信用保証協会と金融機関がリスク分担を行い、さらなる連携を図っていくことになったのです。簡単に言えば、金融機関は信用保証協会に過度に依存せず、自らもこれまで以上にプロパー融資を実行して、リスクを取りながら中小企業を支援していきましょうということです。

例えば、創業時や小規模の企業については100%保証の制度を利用し、拡大期にある中小企業にはプロパー融資で積極的な支援をしていくことができるでしょう。大震災等の危機発生時、あるいは再生期にはリスクが増加しますから、プロパー融資だけでなく保証協会付き融資の積極的利用が考えられます。

信用補完制度は、資金繰りに悩む中小企業にとって非常にありがたい存在です。そして、それは金融機関も同じです。しかし、保証協会付き融資ということで、プロパー融資よりも大幅にリスクが低減されるため審査の姿勢に差が出ることが多いでしょう。また、経営が悪化した融資先に対する支援にも差が出やすいといえます。中小企業経営者も、保証協会付き融資なら金融機関があまり経営に口を挟んでこないため、経営改善が遅れる原因にもなるのです。

そんなこともあり、金融機関がより融資先企業の経営支援に取り組むよう、プロパー融資と保証協会付き融資を適切に組み合わせるように改正したのです。

しかし、心配な面も若干ありました。信用保証協会が金融機関に対して多くのプロパー融資の比率負担を求め、機械的に運用することで、金融機関がリスクを負担できず、結果として中小企業が資金調達できない可能性があります。また逆に、金融機関がプロパー融資を出せないとの立場を信用保証協会が受け入れざるを得ず、プロパー融資が増えないままこれまで通りの保証割合に落ち着いてしまう状況も考えられます。最悪なのは中小企業の資金調達に悪影響が出てしまうことでしょう。

スタートして半年ぐらいした頃は、信用保証協会は前向きでも、金融機関が融資をしてくれないという相談をいくつか受けました。しかし、最近はそういうご相談、私の所では少ないです。

中小企業の資金調達環境に影響が出ていないか確認してみたいと思います。

全国信用保証協会連合会は、保証承諾の件数や金額を公表しています。保証承諾の件数が前年同月比と比較して増加しているのかどうか、その推移を見てみましょう。

1.0を超えていたら前年同月よりも上回っているということになります。保証承諾の件数を前年同月比で見ると、改正が実行される前1年間は前年同月比で1.0(100%)を超える月が10月の1か月しかありませんでした。しかし、4月以降の11か月間中で7か月が1.0超の結果です。多くが金融機関を通しての保証申し込みですから、金融機関そして信用保証協会ともに中小企業支援に積極的なのではないでしょうか。

もしかしたら、信用保証協会があまり機械的にプロパー融資を求めなかったのかもしれません。ただこれを見る限り、信用保証協会は中小企業の資金調達に支障をきたさないよう対応していると思われます。

もう一つ、日本銀行の「金融機関の貸出態度判断DI」を確認してみました。20ポイント台で推移しています。グラフにしても、大企業、中堅企業、小企業ともにほとんど横ばいで、おもしろくない折れ線グラフになってしまいました。

新しい信用補完制度がスタートしてからもDIには変化はありません。今のところ中小企業向け融資には大きな影響はないといえるでしょう。

しかし、安心はできません。なぜなら信用補完制度は政治の影響を受けやすいですし、それに財務省は本来保証割合50%を目標にしていたからです。

もし金融機関がリスクを避けプロパー融資を推進せず、信用保証協会も中小企業への影響を懸念してその流れに従ってしまい、信用保証収支の赤字が改善されないままであるなら、一層のプロパー融資の推進を求めてきたり、保証割合の引き下げ議論が再燃したりということがないとは言い切れません。

各中小企業の実態に応じて対応は異なりますが、全体の流れとしてはプロパー融資のシェアがアップする方向に進むでしょう。信用保証協会に頼らなくても金融機関から資金調達できる経営を目指しましょう。そのためにも、金融機関が前向きに審査するための積極的な情報提供が不可欠なのです。

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