経営者保証に関するガイドラインは、金融機関に対して経営者保証に依存しない融資の推進のために、全国銀行協会と日本商工会議所が作成し2014年2月からスタートしました。
そして、金融庁は4月11日、「経営者保証に関するガイドライン」のアンケート結果を公表しました。
ガイドラインの活用促進が金融機関に与えるメリットとして、「顧客との信頼関係の強化に繋がった」との回答は全体の74%、「行員職員の目利き力の向上に繋がった」との回答が53%に達し、それらは一定の成果があったといえるでしょう。
逆にガイドラインの活用促進によるデメリットとして、回答した地域銀行は、経営者の規律付けの低下を招くことを危惧していることが分かります。
そして、経営者から保証を徴求してもすでに保有資産は担保に入っていたり、手持ちの現預金も投入しているので、いざ経営者から回収しようとしてもほとんどできないことは金融機関も承知しています。それでも求めるのは経営者の規律付の低下に繋がるのを防ぐためです。このアンケートの結果を見てもそれが分かります。
貸出債権に対する経営者保証からの回収率は、このように1.0%未満が63%との結果です。このことからも、経営者保証を徴求するのは、回収を前提としたものではなく、経営者の規律付のための役割として期待しているものと考えられます。
年1回の決算書提出だけでなく、定期的に財務データを提供し報告していく、金融機関とはそんなお付き合いが必要となります。
また、事業承継時の二重徴求に関する結果もあります。先日もご相談を受けた企業の経営者さんからお話があったのですが、息子が社長を引き継ぐときは経営者保証がないようにしたいとおっしゃっていました。社長になっていきなり数億円の連帯保証人になるのは気が重いかもしれません。
事業承継時の二重徴求の状況下で、旧経営者の保証を解除できない要因として、旧経営者が引き続き代表権持っている又は株式を一定程度保有している、旧経営者が実質的な経営権を有している場合は、旧経営者の保証を解除しない理由としている金融機関が多いこと分かります。
株式は後継者に移行し、経営にも関与していない、そういう体制が明確にすることが必要となるでしょう。
また、このアンケートは平成30年11月に実施されましたが、信用保証協会から保証を求められているため、というのもかなり高い割合です。ただし、平成30年4月より、信用保証協会では、事業承継時における二重徴求は基本的に行わない運用となっていますから、これからは見直されていることが期待されます。
全文をご覧になりたい方は、金融庁HP『地域銀行に対する「経営者保証に関するガイドライン」のアンケート調査の結果について』にアクセスしてください。
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