資金繰り

自社の正常運転資金はいくらか分かりますか

正常運転資金とは

飲食業や小売業のような現金商売を除き、法人相手に商売をしていると仕入れ等の支払いが先行し、売上代金の回収は後になりますから、仕入れ資金を自社で立て替える必要があります。

その立て替えている分を正常運転資金(あるいは経常運転資金)といいます。

正常運転資金は、企業が継続的に事業を運営するうえで必要不可欠なものです。そして、中小企業の多くが正常運転資金で悩むことになります。

1億円の商品を仕入れて2億円で売却すれば1億円の利益が得られ、回収すれば諸経費支払いや金融機関への返済ができることになります。

しかし、2億円の代金回収がなされれば1億円のキャッシュが増加しますが、それまでは1億円を先に支払い立て替えることになるので、企業としてはそれだけの運転資金が必要となります

したがって、売上代金回収までの日数が長ければ長いほど資金繰りが苦しくなります。

正常運転資金額を計算してみる

例を用いて正常運転資金額を計算してみましょう。

決算書の内容は次の通りです。
・年商が5億円(1日の売上高が約137万円)
・売上債権(売掛金、受取手形等)が4千万円
・棚卸資産(商品、製品、原材料等)が4千万円
・仕入債務(買掛金、支払手形等)が5千万円

1日あたりの売上高で割ってみると次の通り各回転期間が算出できます。
・売上債権回転期間29日(4千万円÷137万円)
・棚卸資産回転期間29日(4千万円÷137万円)
・仕入債務回転期間36日(5千万円÷137万円)

商品を仕入れてから29日で商品が売れ、売れてから29日で売上代金を回収できることになります。逆に仕入れてから36日で支払い仕入れ代金を支払うことがわかります。

ここから運転資金が必要な日数は29日+29日-36日=22日と算出できます。

この日数22日に1日あたりの売上高をかけることで、自社に必要となる運転資金が計算できます。

必要となる運転資金額=137万円×22日=3,014万円

この日数(22日)が大きければ大きいほど自社の資金繰りが苦しくなりますし、少なければ少ないほど資金繰りが楽になります。

なお、正常運転資金は次の計算式でも求められます。

正常運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

決算書の数字から、正常運転資金=4,000万円+4,000万円-5,000万円=3,000万円

先ほどの計算だと3,014万円ですが、これは端数を切り上げた1日の売上高を使って計算したためであり、ほぼ一致している事が分かります。

正常運転資金は短期継続融資で

 この正常運転資金の日数に異常がないか、理由もなく増加していないかどうかを定期的にチェックしなければなりません。

売上債権は早期の回収、棚卸資産は極力少なく、仕入れ債務は支払いを遅く、を実行すれば必要となる運転資金は改善されます。しかし、お分かりのように回収や支払条件を変更するのは、信用不安に発展することが多く難しいでしょう。

だから、新規取引先とは、既存取引先よりも取引条件で自社に有利な条件を提示することは必要です。

棚卸資産も資金繰りを考えて在庫を少なくすれば、販売機会を失うリスクがありますから、在庫管理に力を入れることが必要です。

回収・支払い条件改善や、在庫管理ができたとしても、正常運転資金は必要となるでしょう。手持ち資金だけでは不十分であれば金融機関からの資金調達が必要となります。

正常運転資金に対応する融資としては、短期継続融資が最適です。具体的には手形貸付による融資です。

多くの中小企業が資金使途に関係なく証書貸付による資金調達です。返済期間は長いですが毎月の返済が発生するのでその分、資金繰りは苦しくなります。

手形貸付は融資期間が最長でも1年で、返済も期日一括返済が多いため、正常運転資金に向いている融資としては証書貸付よりも手形貸付となります。

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