中小企業経営

飲食業の顧問先がついに創業融資を完済します

月曜日に伺った顧問先は、3時間程度電車に乗って行かなければなりません。

16年前、まだ私が勤めていた時代に知り合いから紹介され、飲食店を退職し独立するということで、国民生活金融公庫(現在の日本政策金融公庫)から資金調達するのを支援しました。

そして、お店をオープンしてみると当初計画していた月商をはるかに超え、2倍以上の売上を獲得する地元では人気のお店になりました。

店主と私は一時的なものだろうと見ていましたが、東日本大震災の2か月程度は売上が減少しました。しかし、その後も人気店のままです。

創業してから16年が経過しました。ついに借入金を来月完済するまでになりました。

飲食業の経営は厳しい

日本政策金融公庫(以下、公庫)では業種別の経営指標を公表しています。

一般飲食店の箇所を見ると、平均と黒字かつ自己資本プラス企業に分かれています。

売上高総利益率は平均64.2%、黒字かつ自己資本プラス企業65.5%とそれほど大きな違いはありません。

しかし、
・売上高営業利益率、平均は-1,1%、黒字かつ自己資本プラス企業は3,2%
・売上高経常利益率、平均は-0.3%、黒字かつ自己資本プラスは3.1%
と大きな差が出てくるようになりました。

公庫の統計だけを見ると、平均したら飲食業はみんな赤字ということになります。

確かに、私が住んでいる本八幡駅周辺には飲食店が多いけど、閉店するお店も結構あります。みなさんの近所もそうではありませんか。

さらに借入金回転期間や自己資本比率を見ると、借入金回転期間は、平均7.9カ月、黒字かつ自己資本プラスは5.4カ月です。そして、自己資本比率は、平均-49.6%、黒字かつ自己資本プラスが23.1%です。

※借入金回転期間=(短期借入金+長期借入金+手形割引)÷平均月商

赤字が続いて金融機関からの借入金が膨らんでいたり、そもそも自己資金が不足気味で開業に踏み切った方が多いのでしょう。

飲食業を始める方は、それまで高い収入を得ているケースが少ないようです。自己資金面でやや不足する方も多く、借入に依存しなければならないケースが多いでしょう。

そのようなやむを得ない事情もありますが安易な借入は、後に利息と返済が重くのしかかります。

それに最初は順調なことが多いけど、ほとんどが数か月もしていくうちにまた近くに別の飲食店が開業して、そちらにお客様は流れてしまい売上も落ち着いてしまうので注意が必要です。

よくある失敗例

当社も飲食業の経営者からご相談を受けたり、お手伝いしたりしたことがあります。その中で失敗した飲食店を見て思ったことがいくつかあります。

・料理人が優先して経営者としての視点で考えることができない
お客様に満足してもらうことはもちろん大切なのですが、やはり自社の経営の事も考えなければなりません。原価を管理して適切な利益を出していく必要があります。

しかし、料理人としてお客様に満足してもらう気持ちが強すぎて、本来いただくべき利益を大幅に下回ってしまう飲食店が意外とあるのです。

・開業時に多額の設備投資をしてしまう
やっぱり自分の店を持つとなると、豪華なものにしたがる気持ちは本当に理解できます。それの方がお客様もたくさん来店してくれるだろうと。しかし、それだけ借入金が増えてしまい、それは価格面にも反映しなければならなくなり、ライバル店よりも価格面で劣勢に立たされることになります。

・値引きやクーポンにすぐ頼る
他店よりも安くする、または値引きのクーポンを利用して、来店客数を確保しようとする経営者がいます。それでうちを気に入ってもらい、常連客になってくれるだろうと。

間違いなく言えますけど、そういうので来店した人は常連客にもならないですし、儲けさせてくれるお客様になることは(ほぼ)ありません。

クーポンで来店客は増えて忙しいけど、思ったような利益にならなかったという結果になりやすいです。また、そんな事をしていたら常連客が逃げてしまいます。

体力のある大手ならいいでしょうけど、中小の飲食店は取るべき策ではないでしょう。

・東京等大都市で開業したがる
東京のほうが多くの見込み客がいることになります。それに〇〇県よりも東京都で有名な飲食店になりたいという夢もあるでしょう。

しかし、現実的には非常に多くのライバルがいます。それは和食をやっていても和食店だけではなく、飲食店すべてがライバルになります。あるいはお弁当屋やピザ屋、コンビニだってライバルになるでしょう。それに、家賃や人件費が高いです。

飲食業は仕入、人件費、家賃を押さることが重要です(FLR比率を参照)。無理をした分だけ経営を圧迫しますから注意してください。

大都市を外して開業する方法もあります

その顧問先の料理は間違いなくおいしいですし雰囲気がとてもいい。しかし、東京で開業していたら、多くのライバルとの競争ですでに廃業していたかもしれない、と顧問先の店主は言います。

顧問先の周りにも飲食店はあるけど圧倒的に少ないですし、味や雰囲気の面では明らかに優位にいます。それだけではありません、この地域ではランチが1,300円ぐらいでも高くはありません。

それに車社会ですから、駅に近いところを借りたり購入したりする必要もないので、家賃を抑えることができます。周りに家1軒ないところにありますが、味と雰囲気で高い評価を受けているので、車で離れたところから来てくださいます。

いつか飲食業で独立したいと考えている方は、東京ではなく地方で開業することも考えてみるといいのではないでしょうか。

■中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。詳しいサービス内容は、当社ホームページを参照してください。

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