銀行融資

晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる

経営者なら「金融機関は晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。

業績が良好で資金繰りにも余裕がある時は「借りてください」とさんざん言っていたくせに、経営が悪化すると貸してくれない、ひどい場合は回収に走ろうとするので、金融機関は客よりも自分の事しか考えないという内容です。

確かに資金調達が不要な時は「借りてくれ」と言ってくるけど、こちらが困って「貸してください」と言うと態度が変わってしまうことはあります。

雨の日も傘を貸そうと努力している金融機関や行職員はいます。しかし、そうでない金融機関の方が多いと思います。

金融機関の対応に怒っても仕方ありません。晴れたら貸す、雨になったら取り上げるのなら、それを上手く利用しましょう。

晴れの日に傘を貸すのは正しい

業歴の長い中小企業経営者にお会いすると、「ずいぶんとひどいことをするな」と感じる金融機関の昔話を聞くことがあります。今は少ないですけど、昔は貸し渋り、貸し剥がしはありました。だから、経営者を長年やってこられた方は、金融機関を信用していないことが多い。

このような話をしてくると、何だか金融機関の行職員って嫌な人たちのように感じますが、果たして中小企業が正しくて、金融機関が悪いのでしょうか。

私たち企業からはひどいと感じても、金融機関の立場からすると、仕方のないこともあるのです。

預かった預金は預金者が求めれば出金に応じなければなりませんし、毀損させてはなりません。したがって、業績が良好で確実に返済してくれる会社に融資するのは当然のことです。投資とは違うのです。

さらに、金融機関は融資先企業を格付けし、それに応じて貸倒引当金を計上しなければなりません。貸倒引当金を計上するというのは、融資したお金が回収できないリスクを見積もり、費用として計上する会計処理のことです。

金融機関によって異なりますが、財務内容に問題がなく返済も滞っていなければ0.3%程度、赤字続きでしかも債務超過の企業であれば、数十%の引当金を積むことになります。

仮に1千万円を金利3%で融資するとします。その場合は年間30万円の利息収入となります。しかし、その会社は赤字で債務超過と倒産のリスクが高いため、30%の貸倒引当金を費用計上しなければならないとします。そうすると貸倒引当金は300万円となり、融資するだけで30-300=270万円の赤字となってしまうのです。

これでは支援したくても融資に応じることはできません。

確かにかつて貸し渋りや貸し剥がしはありました。今も絶対に無いとはいいません。しかし、傘を取り上げられる企業というのは、ほとんどの場合、融資ができない大きな問題点がある、そしてそれを解決しようとせず放置していることが非常に多いと感じます。

傘を取り上げられるのには企業側にも問題があるのです。自分が業績の悪い会社にお金を貸そうと思うでしょうか。代金を支払ってくれそうもない企業に商品販売やサービスを提供するでしょうか。

晴れの日に借りておきましょう

業績の良いときには傘を貸してくれることを私たちはすでに知っています。それでしたら、晴れの日に傘を貸してもらいましょう。

向こうから貸してくれるタイミングであれば、こちらにとって好条件で資金調達できる可能性も高くなりますから。

「不要な資金を調達する必要はない」という意見もあります。間違ってはいません。ただ、経営が悪化してくると、資金調達が難しくなったり、条件も悪くなったりします。それに、資金繰りが悪化すると本業にも影響します。資金にゆとりを持たせるためにも、晴れの日に借りておくことを検討しましょう。特に、業績に波がある企業・業種でしたら実行しておくといいでしょう。

雨の日に取り上げられない対策を

日頃から雨の日に傘を取り上げられない対策をしておきましょう。先ほども申し上げましたが、昔と違って貸し渋りや貸し剥がしがそう起こるものではありません。ただ、日頃からコミュニケーションを密にしておいてください。月次決算の報告をする、決算説明をする等をして顔を合わせるようにしてください。

こちらからどんどん相手の懐に入っていくのです。そうすると、金融機関担当者も取引先企業に強引なことはしづらくなりますし、少しでも協力的な姿勢で対応しようとするものです。

金融機関は地元経済を支える公的な立場もありますが、利益を出していかなければなりません。自社の経営が悪いのなら、日ごろの付き合いの中で経営が悪化した原因と対策、今後どうなっていくのかを説明し、理解と応援を得られるようにしましょう。

もし、そのような対応ができない、そうしたらいいのだろうか、とお悩みでしたら当社にご相談ください。

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