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資産計上によって問題が表面化しない

決算書の中には貸借対照表と損益計算書がありますが、貸借対照表は決算日における財政状態を表し、損益計算書は一定期間(例えば4月1日から3月31日)の経営成績を表しています。

 

中小企業の経営者は、売上高や利益がいくらだったかに関心を持つ傾向が強いように感じます。そして、損益計算書はとても気にするものの、貸借対照表にはあまり関心を持たない方が多いように思います。

 

だから、損益計算書は何とか黒字にしようと思う経営者は多いですし、特にリスケジュール等で取引銀行の支援を受けている場合ですと、銀行の担当者から「支援を継続して欲しいのなら黒字にしてください」と言われれば、そのプレッシャーから何とか黒字にしようと努力するでしょう。

会計のルールでは、支出は費用か資産のどちらかに計上することになります。費用の中でもその効果が将来にわたって表れるものなら資産に計上します。また、費用でも使っていなければ資産に計上します。例えば、仕入れた商品は販売していなければ貸借対照表の棚卸資産に計上しますね。

 

そこで、本当は将来というか長期間にわたっての効果がないにもかかわらず、自分の都合の良い解釈で効果があるからと、費用を資産計上する経営者がいます。それにより赤字を黒字にしようとするのです。

 

例えば、

・多額の広告宣伝費を使ったり、展示会・商談会に出展をしたりした。(1か月程度は効果があるかもしれないが)これによって長期間(数年)にわたり販売促進効果があるからと、繰延資産に計上し費用計上を先送りにしている。

 

・事業の一部としてソフトウェアの販売を行っているが、販売実績はほとんどない。そして、本当はバージョンアップなんてそれほどしていないのに、社員一人の人件費をバージョンアップの分としてソフトウェア資産に計上。5年にわたって減価償却をすることで費用計上を繰り延べる。

 

またもっと単純に、利益が出るまで経費の一部を仮払金で処理をして資産計上し、損益計算書を黒字にしていることも見受けられます。

 

このような方法であっても損益計算書が黒字になっていることから、経営者は「うちは黒字だから、まだ何とかなる」と考えてしまうのです。はっきりと赤字なら危機感を持って対策を立てて実行するのでしょうが。

 

たとえ損益計算書はきれいになっても、貸借対照表には価値の無い資産がたくさん計上されることになります。

損益計算書はごまかせても、赤字のツケは貸借対照表に押し付けているのですから、不自然な状態になっているのです。

 

そんな資産価値のない物がたくさんあれば、貸借対照表もしっかりチェックしている銀行員なら「実際の自己資本はもっと少ないのでは」「債務超過ではないのか」と疑ってくることが多いのです。

 

経営者はどれだけ売上があったのか、儲かったのかだけではいけないのです。自社の財政状態もしっかりと把握しなければならないのです。

 

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