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人情味に厚い経営者

人情味を辞書で調べると「人間としてのやさしさ、思いやり等の温かい心」とあります。

 

経営者にもやさしさや思いやり等の暖かい心はもちろん必要ですが、それだけでは経営者失格の場合もあります。

ビジネス男性-おじさん

以前勤めていた会社のお客様なのですが、何期にもわたって赤字経営が続き、このままでは長くても2年以内には倒産することが確実な会社さんがありました。

 

出来る限りの経営改善策を検討しても、数名の社員を解雇しなければなりませんでした。そもそもその社員というのは、他の社員よりも明らかに能力が低く、かつ社長の兄弟ということで給料をもらっているような人たちでした。

 

私がその件について社長に話をすると、社長は「あいつのところは、長男が大学に進学したばかりで、これからしばらくは金がかかる」、「こいつのところは、家のローンがまだ10年以上残っているんだよな」等と言って、全く人件費に手を付けようとはしませんでした。そして、それから1年少し経った頃、その会社は倒産しました。

 

社長自身も自分の会社の倒産が近いと感じてはいるものの、「社員が路頭に迷ってしまう」からと手を付けずに倒産すれば、他の頑張っていた社員に迷惑がかかってしまいます。社員だけではありません、取引先にも迷惑をかけることになります。

 

一見すると社員にやさしい判断ですが、結局のところ傷口を広げ、多くの関係者に迷惑をかける結果となってしまうことが多いのです。

 

以前、帝国データバンクの社員の方が講師をされたセミナーに参加したことがあります。その講師の方がおっしゃっていたのは、会社を潰しやすい社長の特徴として、一番は「計数面が苦手な経営者」であり、その次に「人情味に厚い経営者」だとのことでした。経営改善策の1つとして、社員の一部解雇の必要性があったとしても、人を切ることができなくて倒産につながるということでした。

 

本当に社員や取引先のことを思うのであれば、事業の撤退は早ければ早いほどいいですし、逆に継続するにしても早期に対策を実行することが必要です。そして対策を早期に実行するとき、社長は時に厳しい決断を下さなければならないのです。

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